2016 Fiscal Year Research-status Report
内視鏡的食道筋層生検法による好酸球性食道筋炎の疾患概念確立と病態解明
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16K19332
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 裕樹 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (50644556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 好酸球性食道筋炎 / 内視鏡的食道筋層生検 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が発見した『好酸球性食道筋炎(EoEM)』は食道粘膜に好酸球浸潤を認めず食道筋層に限局した好酸球浸潤を示す機能性食道疾患であり、食道上皮に好酸球浸潤を示す好酸球性食道炎(EoE)とは異なる疾患概念であると考えられる。現在までEoEM4症例を経験し、血清IgEが高値であり、好酸球の食道筋層浸潤の原因としてEoE同様Allergyの関与が示唆された(Sato H.Endoscopy. 2015)。EoEMの病態解明にむけてEoE・EoEM両疾患の組織検体で免疫組織学的解析を行った。Eotaxin-3(好酸球に対して強い走化性を示すchemokine)、CCR3(Allergyの主役である好酸球に発現するEotaxinのreceptor)、desmoglein-1(重層扁平上皮のバリア分子)、などを解析対象とした。EoEの食道粘膜検体ではEotaxin-3陽性上皮細胞が増加・desmoglein-1の上皮細胞膜染色性は低下・CCR3陽性細胞の上皮内浸潤を認めたが、EoEM食道粘膜検体においては同様の変化は観察されなかった。一方、EoEM食道筋層検体ではEotaxin-3-CCR3 axisの活性化をみとめた。以上より、Eotaxin-3-CCR3 axisの制御異常がEoEMとEoEでは異なると考えられた(Sato H. J Gastroenterol Hepatol. 2017)。続いて、局所でのTh2-Allergy反応を観察するためEoE・EoEM両疾患の食道組織検体からRNAを抽出しRT-PCR解析を行った。Th2-cytokineであるIL-5,IL-13はEoEの食道粘膜で発現増加を認めたが、EoEMの食道粘膜・筋層では発現増加は認めなかった(Sato H. World J Gastroenterol.2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例の蓄積が十分とはいえないが初年度に予定した研究計画は概ね施行でき、その成果を英文誌に投稿できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
EoEMの局所で発現が確認されたeotaxin-3やCCR3の血中濃度をFlow cytometry (Cytometric Bead Array; CBA) やELISAを用い測定することでEoEMにおけるこれら分子の病態や活動性との関連を解析し、EoEM特異的Biomarker候補分子を探索していきたい。また、前述の通り、これまでの研究結果では、EoEM食道筋層において、EoE局所のようなAllergy反応は観察されなかった。病局所での免疫組織学的解析・RT-PR解析では、好酸球誘導に関与するRANTES・MCP-4・CCL15などのchemokineやCCR1,2,5といったchemokine receptorについても解析を追加することで、EoEMのEoEとは異なる病態を解明していきたい。
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Causes of Carryover |
症例の蓄積が十分とはいえなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰と次年度の交付予定金を合わせ、症例を蓄積し解析を継続していく。また、動物実験を行うことに費やす予定である。
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Research Products
(2 results)