2017 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎進展に関与するERストレスの同定と新規治療法の開発
Project/Area Number |
16K19343
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
的野 智光 鳥取大学, 医学部附属病院, 特命助教 (60571841)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NASH / FLS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、鳥取大学独自で交配を続ける非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルであるFLSおよびFLS-obobマウスを用いて、正常肝から単純性脂肪肝、NASHへ進展する過程における小胞体(ER)ストレスを同定し、ERストレスのNASHバイオマーカーを明らかにすることである。 本年度は、単純性脂肪肝モデルであるFLS 24、36、49週齢およびNASHモデルであるFLS-obob 24、36、48週齢を作成し、と殺した。血清ALTや肝脂質量を測定し、マトリックス代謝酵素や各種サイトカイン、ERストレスマーカーをqRT-PCR法にて測定した。 FLSマウスでは、血清ALTは経時的に上昇したが、肝中性脂肪および肝コレステロール量は経時的に減少した。シリウスレッド染色による肝線維化は24週にF1、36週にF1、48週でF1-2相当であった。TGF-β1、TIMP1およびTNF-α遺伝子発現は、24週:36週:48週、0.82:1.12:1.49、0.511:1.38:1.89、0.75:1.62:3.03と経時的に増加した。ERストレスマーカーであるATF3、NUPR1遺伝子発現は、0.77:1.72:1.60、0.96:1.65:2.04とそれぞれ経時的に増加した。 血清NASHに関するERストレスの影響は、未だ解明されていない点が多く、本モデルでは重度の脂肪肝であることが確認されており、ヒトNASHモデルとして肝線維化や炎症、アポトーシス、そしてERストレスに関わる様々な因子の変化が推測されており、今後も研究を継続していく意義が十分にあると考えられる。ウェスタンブロット法により関連タンパク質を同定していくことはNASHのERストレスにおける病態解明において重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書では、平成29年度にNASH関連ERストレスに関わるmRNA遺伝子発現をRT-PCR法を測定したが、同定するには至っていない。本年度には研究の目的とするマウス検体の採取が終了し、肝の基本データおよびmRNA遺伝子発現を既に測定している。来年度には、蛋白質レベルではウェスタンブロット法にて測定することとしている。肝組織より蛋白質を抽出し、ウェスタンブロット法を行っているが、本モデルは脂肪肝が強く、本手技においては困難を極めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ERストレス関連蛋白がどのように変化しているのかウェスタンブロット法の精度を上げて確認する予定である。
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Causes of Carryover |
【理由】 前年度より、本研究に使用するマウスの作成に期間を要したため、マウスの検体採取作成状況が大幅に遅れたが、本年度はマウスの検体採取が終了し、研究に関わる基礎データを獲得できた。血清ALTや肝脂質量を測定し、マトリックス代謝酵素や各種サイトカイン、ERストレスマーカーをqRT-PCR法にて測定した。来年度は、既知のERストレス抗体を購入し、蛋白質レベルではウェスタンブロット法にて測定することとしている。 【使用計画】 研究の目的とするFLSおよびFLS-obobマウスの作成、と殺を終了しているので、mRNAを抽出し、NASHに関わるERストレスをウェスタンブロット法で測定する予定である。
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