2017 Fiscal Year Research-status Report
シフトワーカーの概日リズム障害起因性NAFLDに対する新たな治療戦略
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16K19356
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤田 浩司 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30468160)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 概日リズム障害 / 時計遺伝子 / 脂質代謝障害 / NAFLD |
Outline of Annual Research Achievements |
1)前年度に作成した概日リズム障害起因メタボマウスモデルを用いて脂肪肝形成のメカニズムと時計遺伝子(RORA)の関係性について検討を進めた.正常概日リズム/概日リズム障害マウスのRORA遺伝子を過剰発現/発現調整なし/発現抑制し脂質代謝に与える影響を6群間で検討した.RORA遺伝子の発現量と肝脂肪沈着量の間に相関が認められたが事は既報通りだが,表現型としては肝臓においてPPARα, SREBP1c, Plin2, DGAT2 mRNA, 血中においてFFA, InsulinとRORAmRNA発現量の間に正の相関が認められ, 肝臓MTTPmRNAとRORAmRNA発現量の間に負の相関が認められた.また正常概日リズムであれば休眠期に発現抑制されていた肝臓PPARα, SREBP1c, Plin2, DGAT2 mRNAが概日リズム障害モデルにおいて有意差をもって発現増加を示しており,siRNAを用いてRORAmRNA発現を抑制する事で休眠期における脂質代謝関連遺伝子の発現抑制が確認できた.以上の結果から,概日リズム障害により時計遺伝子の1つであるRORAの概日発現異常(特に休眠期におけるRORAmRNA発現増加)がシグナル下流の脂質代謝関連遺伝子(PPARα, SREBP1c, Plin2, DGAT2, MTTP)の特に休眠期における発現増加を来たし、肝臓における脂質蓄積(エネルギー循環不全)を呈しているものと思われる.時計遺伝子(RORA)の発現変化による脂質代謝障害は確認できた一方で,メラトニン分泌の発現変化と脂肪肝病態に関してはマウスにおいて有意な相関が認められなかった. 2)[13C]オクタン酸Breath ID を用い概日リズム障害マウスの胃運動を対照群と比較検討を行ったところ、概日リズム障害群に有意な胃排泄能の遅延を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウスにおいてRORA遺伝子とメラトニン分泌の間に関連が見出せず、人への臨床応用に関して頓挫してしまっているため。消化管運動能に関する検討についてはマウス呼気テストにおける安定した測定値の採取に成功した事から前年の遅れを取り戻し一定の研究成果を認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)メラトニン以外(ドーパミンやセロトニン)の脳内発現物質における概日リズム、RORA等の時計遺伝子との関連を検討し、オレキシン受容体拮抗薬を用いたNAFLD改善の可能性について検討する. 2)メラトニンの日内発現や概日リズム障害による発現変化に関しても異なる実験デザインを用いて継続検討を行う. 3)消化管運動能にメラトニン発現やRORA発現が関与しているか検討する. 4)消化管蠕動促進剤による食物通過時間短縮が概日リズム障害起因NAFLDへ与える影響を検討する. 5)消化管蠕動促進剤やオレキシン受容体拮抗薬の人への臨床応用の可能性を検討する.
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Causes of Carryover |
理由:研究計画の遅れに伴い,マウスや試薬等の実験資材購入を見送っていたため. 使用計画:H28,29年度に計画していた実験をH30年度にスライドして施行する予定.
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