2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K19357
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
結束 貴臣 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30738620)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、次世代シーケンサーの開発により急速に腸内細菌のゲノム解析によって代謝産物の予測が可能となってきた。そこで我々は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の線維化進展に関わる腸内細菌叢とメタボローム解析を行いさらに臨床パラメーターとの相関との関連を検討した。当院で健常ボランティア者25例、肝生検を施行して診断したNAFLD/NASH患者125例に対して次世代シーケンサーを用いて腸内細菌叢の組成を推定した。また、NAFLD/NASH患者を軽度線維化群(F0-2)72例、高度線維化群(F3-4)53例に分け腸内細菌叢の組成を比較検討したところ健常群、NAFLD/NASH群の2群比較において、門レベルではNAFLD/NASH群でBacteroiides門の減少傾向か認められた。属レベルでは、健常群に比較してNAFLD/NASH群ではStreptococcus属で有意な増加を認めるほか、Faecalibacterium属(F.B)の有意な低下を認めた。また、高度線維化NAFLD/NASHにおいては軽度線維化NAFLD/NASHに比較して、F.Bの有意な低下を示すとともに、血中エンドトキシン値の有意な増加を認めた。さらにF.Bの占拠率と血中エンドトキシン値との相関関係を検討したところ、有意な負の相関を示した(R2=0.211、P<0.0001)。またメタボローム解析の結果から高度線維化群では、ビタミンB6 (VB6)代謝の低下を認めた。メタボローム解析の結果、VB6代謝産物の有意な低下とカルボキシメチルリジン(CML)、コリン、トリメチルアミン(TMA)の有意な増加を認めた。一般的にVB6は脂肪肝に関連が、またCMLやTMAは動脈硬化などに関連するといわれている。以上の結果から、NASH病態進展やその肝外合併症である心血管イベントは、腸内細菌の関与が考えられるとともに腸内細菌の制御をすることでこれらの改善をはかれる可能性が考えられた。
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