2016 Fiscal Year Research-status Report
筋線維芽細胞の消化管幹細胞制御機構の解明とニッチ因子による上皮分化誘導への応用
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16K19359
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片野 敬仁 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50768372)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 胃腸形質発現 / 筋線維芽細胞 / ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
胃・小腸・大腸の間質筋線維芽細胞における組織特異的因子の同定に関して、マウス胃、小腸、大腸それぞれから間質筋線維芽細胞を単離、培養し、各組織の筋線維芽細胞株を樹立した。total RNAを抽出し、逆転写反応にてcDNAに変換し、real-time RT-PCRにて遺伝子発現の検索を行っている。幹細胞機能維持に関連するWnt、BMP、Notchシグナルなどのターゲット遺伝子発現、とくにSonic hedgehogシグナルに着目し、解析をすすめている。 胃、小腸、大腸それぞれから単離した間質筋線維芽細胞株とそれぞれの上皮のfragmentを長期間3次元培養系にて共培養し、上皮間質相互作用における胃型腸型粘液形質発現の誘導能に関しても検討している。各組織でのコラーゲンゲル内での間質筋線維芽細胞の培養に差があるため、適切な培養条件もあわせて検討中である。 潰瘍性大腸炎からの炎症性発癌過程における形質の胃型化にかかわる因子を検討するにあたり、大腸癌細胞株を用いてTNF-α刺激が腸型形質を司るCDX2発現を抑制すること、それに伴う胃型形質を司る因子の発現への影響をreal-time RT-PCRなどで検索を行っている。 臨床検体を用いた発癌過程における異所性胃型粘液形質、腸型粘液形質および幹細胞マーカーなどの発現の意義についても検討をおこない、内視鏡的粘膜下層剥離術で切除された大腸側方発育型腫瘍(LST)約100例に関する臨床病理学的検討を行い、LSTの亜型と組織異型度により、異所性胃型粘液形質(MUC5AC、MUC6)、腸型形質(CD10)、内分泌細胞分化(chromogranin A)、SOX2発現に差がみられ、悪性化および浸潤の予測マーカーとなる可能性を見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
消化管各組織における筋線維芽細胞株を樹立し、間質においても組織間で異なる因子の存在の可能性を見出しており、3次元培養系での上皮分化誘導への基礎となる知見を得たことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の成果を基盤に、3次元培養を用いて筋線維芽細胞の幹細胞制御機構の解明と上皮分化誘導への応用を目指して研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
実験に用いる試薬などの経費が見積もりより低くなったため。しかし、次年度に遂行する実験において当初予定より多くの経費が必要となる見込みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各種薬品(各種抗体、PCR関連試薬、ウェスタン解析関連試薬など)、病理組織(免疫染色など)、および細胞培養関連、実験動物(マウス、ラット)の飼育費、研究成果発表の際の旅費などに使用する。
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