2016 Fiscal Year Research-status Report
腸管自然リンパ球における腸管特異性規定遺伝子の役割
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16K19367
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐伯 恵太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80528729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核内受容体 / 腸管神経叢 / 急性腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究では、核内オーファン受容体であるNr4a3分子に着目しその腸管恒常性制御につき検討した。T細胞におけるNr4a3分子は制御性T細胞の発生に大きく関与していることはすでに当研究室から報告されているが、Nr4a3分子は他のヘルパーT細胞だけでなく、ナチュラルキラー細胞/自然リンパ球(NK/ILC)にも発現が認められ、同分子欠損マウスは急性腸炎に抵抗性であることがすでに分かっていた。しかしながら、腸管ILCを単離し数々のサイトカイン産生を評価したものの、GM-CSF産生がわずかに増加するのみであった。さらに骨髄移植実験により非免疫細胞におけるNr4a3分子の重要性が明らかとなったため、方向性を転換せざるを得なくなった。そこでNCBIデータベースにあるNr4a3に関連するマイクロアレイデータをメタ解析してみたところ、腸管神経叢への関与の可能性が見いだせたため次にNr4a3分子の腸管神経叢への関与につき検討することとした。興味深いことに、Nr4a3分子はHirschspring病のunidentified disease lociである9q31領域に存在し、同分子欠損マウスはHirschsprung病類似疾患であるImmature Ganglia様の病態をとり、消化管神経叢が低形成になることが判明した。さらに、急性腸炎も一部のセロトニン受容体作動薬によりその差が詰まることがわかり、消化管神経叢と急性腸炎の新たな制御メカニズムを見出すことに成功した。さらにその分子メカニズムを追うため、マクロファージと神経伝達物質との関連性を検討したところ、CGRP分子が同定でき、炎症制御に寄与していることが明らかとなった。当研究は過去に報告を見ない消化管神経節形成を介した急性炎症制御メカニズムに迫り、新たな診断ならびに治療応用への突破口になるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは方向性が変化しているものの、Nr4a3分子の腸管恒常性の意義をある程度突き止めることができ、現在論文作成段階まで進んでいる。したがって、おおむね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
成果をまとめ報告段階にある。
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