2017 Fiscal Year Research-status Report
樹状細胞とトリプトファン代謝酵素(IDO)の制御に基づく肝線維化防止機構の解明
Project/Area Number |
16K19382
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
由雄 祥代 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 肝疾患先端治療研究室長 (10774060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝線維化 / IDO / キヌレニン / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
必須アミノ酸であるトリプトファンをキヌレニンに代謝する律速酵素であるIndoleamine-2,3-dioxygenase (IDO)はIFN-γやTNF-αにより誘導され、代謝物であるキヌレニンはNK活性低下、Treg誘導といった免疫抑制作用を持つことが知られており、IDO/TDO阻害は、海外で悪性黒色色腫、非小細胞肺がんに対する治験が進行中であるが、肝線維化におけるIDOの意義は明らかではない。今年度は肝線維化におけるIDOの関与を明らかにすることを目的とした。非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease; NAFLD)は近年 加傾向にある疾患である。NAFLDはウイルス性肝疾患同様に、進行性に肝線維化をきたし、発癌リスクを上昇させることが報告されている。発がんリスクは、肝線維化の程度(ステージ)の進行とともに増加することが知られている。血清IDO活性はNAFLD患者において健常者と比較して有意に高く、肝線維化の進行とともに上昇していた。血清IDO活性はマクロファージの活性化を反映したマーカーである、IL-34、M-CSF、sCD163、YKL-40は正相関を示すことを見出した。また切除肝臓非がん部・がん部よりプライマリー肝線維芽細胞をを単離培養し、その上清におけるIDO活性を測定したところ、非がん部の線維化ステージが進行している症例において、IDO活性が高値であった。キヌレニンの受容体はAhRであるが、AhR作動薬(FICZ)の添加、およびキヌレニンにより、LX-2 (肝星細胞)とプライマリー肝線維芽細胞における活性化が亢進した(ACTA2, TIMP1, COL1A1の上昇)。これらのことから肝線維化においてキヌレニン高値である病態が線維化亢進に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝切片からの線維芽細胞単離培養の系を確立することができ、キヌレニンの線維芽細胞に対する影響を検証した。また単離した線維芽細胞を用いて線維化機序の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
線維芽細胞との共培養により、NK細胞の機能低下が生じることを確認している。今後、細胞免疫を抑制的にコントロールするSiglec (シアル酸結合免疫グロブリン-タイプレクチン) を中心とした細胞表面マーカーを各種免疫細胞において網羅的に解析予定である。
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