2016 Fiscal Year Research-status Report
12誘導心電図伝送システムが急性心筋梗塞診療に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
16K19385
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽尾 清貴 東北大学, 大学病院, 助教 (30647954)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 循環器 / 急性心筋梗塞 / 救急医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
救急隊が急性心筋梗塞患者のもとに到着した際に12誘導心電図を施行し医療機関に伝送する「プレホスピタル12 誘導心電図」を行うことで、来院から再灌流までの時間を短縮させることが報告されており、宮城県においても2015年6月1日より大崎・仙南消防エリアで導入されており、本研究では12誘導心電図伝送システムの導入がAMI救急医療に及ぼす影響についての検討を行うことが目的である。 2015年6月~2016年5月までに259件の12誘導心電図伝送が施行されており、そのなかで急性心筋梗塞と診断された13症例(伝送あり群)を、同観察期間内で心電図伝送システムを使用しないで救急搬送された18例(伝送なし群)と比較検討を行った。伝送あり群はなし群と比較して、年齢(伝送あり群: 69.2±10.7歳 vs. 伝送なし群: 67.0±13.4歳、P=0.64)、性別(男性:100% vs. 88.9%、P=0.21)に差は認めなかったが、STEMI症例が有意に多く(92.3% vs. 55.6%、P=0.03)、Killip2度以上の心不全合併率も高い傾向であった46.2% vs. 22.3%、P=0.07)。また、伝送あり群は、伝送なし群と比較してDoor to balloonが有意に短く(中央値(四分位):78(51-87)分 vs. 117(73-165)分、P=0.03)、来院から冠動脈造影までに要した時間も短い傾向を認めた(44(34-55)分 vs. 85(38-151)分、P=0.09)。このことから心電図伝送システムはより重症心な急性筋梗塞症例で用いられ、迅速な急性心筋梗塞診療に寄与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年6月~2016年5月までの検討を行った結果、12誘導心電図伝送が迅速な急性心筋梗塞診療に寄与していることが示唆され、12誘導心電図伝送に関する研究会で報告を行った。さらに症例登録を重ねることで詳細な解析を行ることが可能と考えられるため進捗状況はおおむね順調と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年5月以降の症例登録を重ねることでさらに詳細な解析を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
参加学会が近隣開催のみであり、当初予定していたよりも旅費を削減することができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内および海外学会へ積極的に参加して研究発表を行う予定であり、繰り越し分と併せて執行をする。
|
Research Products
(1 results)