2017 Fiscal Year Research-status Report
コペプチンの心血管疾患に対する診断・予後予測マーカーとしての包括的役割の解明
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16K19401
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩見 紘樹 京都大学, 医学研究科, 助教 (50728037)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コぺプチン / 急性冠症候群 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年は後ろ向き症例を対象にした心不全入院患者の入院時コぺプチン値が長期予後と関連するかを検討した。結果は、心不全入院時に血清コぺプチン値が高値(18 pmol/L以上)であった症例は、低値であった症例に比べて長期の死亡/心不全の発症率が有意に高く(63.4% versus 33.0% at 1 year, log-rank P=0.03)、この結果は多変量解析で補正後も有意であり、血清コぺプチン値は独立して長期予後と関連していることが示された。本検討のなかでは、入院時のBNP高値は長期の死亡/心不全の予知因子とならなかったことから、コぺプチンが心不全急性期におけるリスク層別化に有用なバイオマーカーとなる可能性が示唆されたものと考えられる。今後更なる大規模での詳細な検討が期待される。 同内容は、H29年に行われた第21回心不全学会で報告し、YIA優秀賞を受賞した。また、現在英文論文を投稿中である。 さらに、H29年度にはH30年に予定していたコぺプチンのACS早期診断に対する有用性を検討するための前向きコホートの検体を前倒しして検体解析した。同解析では、発症早期のACSにおけるコぺプチンの診断マーカーとしての有用性を感度や特異度、ROCカーブでの検討などを行うほか、ACS症例に対しては、経時的な血清コぺプチン値の推移などを検討し、既存のバイオマーカーとの違いを詳細に検討する予定である。同内容についてはH30年中に詳細な検討を行い、結果を関連学会で報告するとともに論文掲載を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H30年に予定していた検体解析の一部を繰り上げてH29年に行ったため、当初の予定より早く進捗している。H30年にはACSを対象に行った詳細な解析を進め、論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね予定通りに進捗しており、最終年度にあたるH30年には、ACS症例に関する詳細な解析とその結果の論文化、公表を予定している。また、既に投稿中の心不全の長期予後予測に対するコぺプチンの有用性についてもH30年中の論文公表を目指す。
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Causes of Carryover |
コぺプチン測定に関わる機器がH29年度で廃棄されることが決定したため、H30年に検査予定だった検体を前倒しして測定したため、一部費用をH30年分から前倒しして使用したため。研究全体としては、H30年予定分の検体測定を一部前倒ししたのみで大きな変更はない。
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