2016 Fiscal Year Research-status Report
局所的心臓交感神経介入による急性心不全治療戦略の構築-脳心連関の視点から -
Project/Area Number |
16K19415
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
野寺 穣 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40769593)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳心連関 / 交感神経 / 神経細胞特異的高頻度逆行性遺伝子導入ベクター / 急性心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究連携研究者である小林らがレンチウイルスより神経細胞特異的高頻度逆行性遺伝子導入ベクター(NeuRetベクター)を開発し、Green fluorescent protein(GFP)やInterleukin-2(IL-2) 受容体を始めとする各種タンパク質を神経細胞体に発現する技術を確立した。この技術により、NeuRetベクターを心筋に接種することで、心臓に分布している交感神経終末から逆行性に遺伝子導入を行い、神経細胞体が存在する神経節に目的タンパクを発現させることで、局所的な交感神経支配領域の同定や交感神経除神経などの介入が行える可能性が開けた。本研究では心臓交感神経支配の詳細を明らかとし、急性心不全病態における脳心連関への介入という新たな心不全治療戦略の構築が目的である。平成28年度はGFPもしくはRed fluorescent protein (RFP)遺伝子を融合したNeuRetベクターをラット右心室および左心室の心尖部、中央部、基部の各心筋内に注入し、神経細胞体にGFP/RFPを発現させることで、心筋各部位を支配する交感神経節を同定することを試みた。NeuRetベクターをラット左心室心尖部に注入し、GFPを両側星状神経節における交感神経細胞体に発現させることに成功したが、その他の部位では発現が得られず、また左室心尖部の注入においてもなかなか再現性を持って発現が得られなかった。NeuRetベクターの骨格筋への打ち込みは前例があるが心筋への打ち込みは本実験が初回となる。心筋の交感神経密度や心拍動下での打ち込みなどの要因が影響している可能性を考慮し、ベクターの注入方法や注入量、注入部位の再検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
心筋へ注入したNeuRetベクターの星状神経節での発現が再現性を持って得られていないことが原因である。 そのため、平成28年度内に予定していた交感神経局所的除神経モデルの作成まで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは研究協力者等に相談しながらNeuRetベクターの注入方法や注入量、注入部位の再検討を行い、できるだけ早期に再現性をもって星状神経節で発現がみられる方法の確立を目標とする。 その後、心筋局所交感神経除神経ラットに各種急性心不全モデルを作成し、心臓交感神経への介入による脳心連関の抑制が、急性心不全病態へ与える影響を解明する。
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