2016 Fiscal Year Research-status Report
Caveolin-Cavinシステムの機能解析による肺高血圧症発症機序の解明
Project/Area Number |
16K19417
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中西 直彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10637911)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 肺高血圧症 / カベオラ / カベオリン |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者において細胞膜カベオラ構成タンパクであるCaveolin-1の遺伝子変異が報告され、遺伝性PAHの原因遺伝子の一つとして位置付けられた。我々は、Caveolinとともにカベオラを構成しているCavinファミリーの一つであるCavin-4が、肺動脈血管平滑筋細胞においてGα13/p115RhoGEF/Rho/ROCKシグナルを介して肺高血圧症の発症・進展に重要な役割を果たしていることを報告した。Caveolin-1は遺伝性PAHの原因として最も頻度の高いBMPR2と血管平滑筋細胞で直接結合しSmadへの下流シグナリングに重要な役割を果たしていることが報告されている。そこで本研究では、Cavin-CaveolinシステムのTGF-β/BMPスーパーファミリーに対する役割およびPAH発症・進展の関係に関して検討した。近年、免疫抑制薬であるFK506の少量投与がBMPR2を介さずSmadシグナルを活性化しPAH発症を抑制することが報告された。Caveolin-1ノックアウトマウスでは肺高血圧症が起こるが、浸透圧ポンプで少量FK506を持続投与すると肺高血圧症・右室肥大が抑制されることを見出した。ヒト肺動脈血管内皮細胞でCaveolin-1をノックダウンするとSmad 1/5/9のリン酸化が抑制されていた。ヒト肺動脈血管平滑筋細胞においてもCaveolin-1をノックダウンするとSmad 1/5/9のリン酸化が抑制されていたが、FK506投与にてその抑制効果が打ち消されることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FK506投与にてCaveolin-1ノックアウトマウスの肺高血圧症が抑制されることを明らかにしたが、その分子メカニズムに関してはまだ十分解明できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト肺動脈血管内皮細胞においてもFK506がSmadシグナルを改善させることができるかを検討し、その分子メカニズムや下流シグナルに関して検討を行う。また同様に細胞の増殖・遊走やアポトーシスに与える影響に関して評価を行う。動物実験においては、Caveolin-1ノックアウトマウスに浸透圧ポンプを用いてTGF-β/BMPスーパーファミリーの阻害薬を投与し、肺高血圧の程度や肺動脈における内膜肥厚の程度を比較検討する。
|