2017 Fiscal Year Research-status Report
大動脈弁通過血流解析システムの開発および弁石灰化に与える影響の解明
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16K19419
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
折居 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70508986)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 大動脈弁石灰化 / 血流解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁に対する機械的応力、剪断応力分布と石灰化分布との相関性について、研究実施計画に基づいて患者登録・フォローの継続を行なった。大動脈弁の石灰化は、大動脈弁左室側ではなく、上行大動脈側に分布することはよく知られている。その機序は明らかになっていないが、上行大動脈における拡張期の逆行性血流が関与することが報告されている。我々は、MRI血流解析を用いて三次元血管形状モデリングを行なったところ、大動脈弁狭窄の重症度に応じて逆行性血流が認められることが明らかになった。 また、三尖の大動脈弁狭窄症に比して大動脈弁二尖弁は狭窄が急激に進行することが知られている。我々の検討では、明らかな石灰化、狭窄のが認められない症例でも、大動脈弁二尖弁では偏向性の逆行性大動脈血流が同定された。興味深いことに、弁石灰化を認める症例では、石灰化の局在と偏向性の逆行性血流の終点が一致していた。 そこで我々は、大動脈弁二尖弁の急激な狭窄進行は、偏向性の逆行性大動脈血流が原因となっているのではないかという仮説を立て、三尖の大動脈弁狭窄症と同時に大動脈弁二尖弁症例の登録も開始した。 三尖の大動脈弁狭窄症の症例登録は順調であり、経時的な血流と石灰化分布の変化の情報を収集した。上記のように左室から上行大動脈への順行性大動脈血流と共に、逆行性の大動脈血流に着目している。血流の有無やその分布、さらに石灰化分布との相関性について引き続き検討を進めていく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は三尖の大動脈弁狭窄症症例を登録していたが、前述のように大動脈弁2尖弁の血流解析から非常に興味深い知見を得た。症例登録を大動脈弁二尖弁に拡大したため、遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続き三尖および二尖の大動脈弁狭窄症を前向き登録する。 ・大動脈弁に対する機械的応力、剪断応力分布と石灰化分布との相関性について経時的に観察する。 ・データ解析を行い臨床研究・基礎研究を総合的に検討し、論文を作成・投稿する。
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Causes of Carryover |
MR血流解析システムに関して年間ライセンスの更新が年度内ではなく、次年度に行われる予定である。そのため次年度使用額が生じた。翌年度は研究計画に基づいた使用及び、ライセンス更新料として使用する予定である。
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