2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19421
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤田 大司 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (20741200)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / 大動脈解離 / インターロイキン6 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究計画に基づき倫理申請を行い審査を受けた。その結果、何点かの指摘事項があり、それら課題の解決を図っている中途である。 本研究では、関節リウマチに対して適応が認められ保険償還されている、抗インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体(アクテムラ)を大動脈疾患へ適応外使用し、治療効果を検証することを目的としている。大動脈瘤の形成にIL-6が関与していることは、マウスを中心とした基礎研究で示唆されており、また大動脈解離の発症にIL-6が関与していることもマウスの実験において研究申請者らが報告している。研究申請者が同時に実施しているヒト患者血液を用いた観察研究においても矛盾しない傾向が得られている。IL-6を標的とした治療介入研究を行う科学的論拠は充足していると考えているが、引き続き慎重に議論していく。 また、必ずしも多くないと考えるものの抗IL-6受容体抗体には鼻炎、上気道炎、感染症などの副作用が知られており、臨床研究実施の際に生じたこれら副作用への対策につき体制整備を続けている。研究参加の際の合併疾患のスクリーニングや有害事象発生時の早期医療対応、重大な事象発生時の補償などが当初想定し準備している事項である。 実務的な面では、研究薬剤費の負担、実際の薬剤投与を行う際の手続きなども調整が必要となっており、体制整備を図っていく。 上記事項は倫理審査において議論された課題であり、引き続き対策を協議し成立を目指していくものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
医薬品の適応外使用に関する臨床介入研究であり、倫理審査手続きに想定以上に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理審査で指摘された事項を克服し、臨床研究成立に向けて、引き続き議論・協議を行っていく。臨床研究法案の成立を受けて、その中で規定される「特定臨床研究」の要件に準拠するべく研究倫理手続きを行っていく。 倫理承認が得られれば、速やかに症例の登録を開始し、大動脈解離に対してIL-6を標的とした治療の効果につき検証する。
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Causes of Carryover |
研究費の用途として、①抗IL-6受容体抗体の薬剤費、②医師臨床治験保険費、③血液サンプル測定のための試薬費、などを予定していたが、倫理承認を得るのに時間を要し、①-③を実際には支出しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
倫理承認が得られ次第、症例をエントリーし、上記①-③の費用負担を行う。当初の研究計画では、抗IL-6受容体抗体(アクテムラ)は1症例あたり40万円、10例の登録で約400万円を見込んでおり、また医師主導型臨床治験保険費としても全20症例で20-40万円を見込んでいる。
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