2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel biomarkers for aortic dissection and their therapeutic application.
Project/Area Number |
16K19421
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤田 大司 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (20741200)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / 大動脈解離 / バイオマーカー / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、関節リウマチに対して適応が認められ保険償還されている、抗インターロイキン6(IL―6)受容体抗体(アクテムラ)を大動脈疾患へ適応外使用し、治療効果を検証することを目的としていた。臨床研究実施に向け倫理的整備を図りつつ、大動脈疾患に対してインターロイキン6を標的とした治療を行う科学的根拠の積み上げを行った。残念ながら期限内に臨床研究実施には到達しえなかったが、以下の新規データの積み上げが得られた。 大動脈疾患の病態生理にIL-6を始めとする慢性炎症が関与をしていることはマウスの実験では示されている。実際のヒト症例においても大動脈組織や血液検体などで関与が示されているが、病態を反映する信頼できるバイオマーカーとしての位置づけまでは確立されていなかった。IL-6を標的とした治療を行い効果を検証するためには、IL-6あるいはその関連因子が病態と連動していることをより強固に示すことが必要であった。保存的治療を施した急性大動脈解離の症例において、IL-6値を測定し、その変化を詳細に検討したところ、入院時の測定値が高いほど入院中の大動脈径が増大しやすい傾向が認められた。この検討では、症例数が26例と少数であったが、今後も症例数を増やしていくことで、よりはっきりした結果が得られるものと期待している。 また、大動脈人工血管置換術前の症例を対象とした先行研究では、血中IL-6値は大動脈径と正相関することが示されていたが、相関係数Rが0.3程度でありより強固な関連が望まれた。MCP-1はIL-6と関連して誘導される炎症因子であるが、マウスの大動脈瘤モデルにおいて高血圧に続発して誘導され大動脈瘤形成に関連していることが近年報告されている。残余血清を用いて、MCP-1を測定し検討した。現段階では、既存のIL-6やCRPを上回る結果は得られていないが、引き続き検討を重ねていく予定である。
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