2017 Fiscal Year Research-status Report
日本最大検体数による難病疾患肺高血圧症原因遺伝子BMPR2未解明変異への挑戦
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16K19424
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
相見 祐輝 杏林大学, 医学部, 特任助教 (60749696)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / BMPR2遺伝子 / 未解明変異 / スプライシング変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は難治性疾患であり、特発性PAHや遺伝性PAHでBMPR2,ACVRL1,ENG,SMAD8,CAV1遺伝子などが発症に関与している。特にBMPR2遺伝子の点突然変異やエキソン欠失および重複などの異常がPAH症例の約三分の一に検出される。しかしPAH症例にはBMPR2遺伝子変異を認めないにもかかわらず末梢血中のBMPR2 mRNA量が減少しているものがしばしば観察される。すなわちBMPR2遺伝子に未解明の変異が残されている可能性がある。他の多くの遺伝性疾患に見られるようにイントロン内の点突然変異/欠失/重複/転座に起因するスプライシング変異、またはエピジェネティクスな変化によるスプライシングバリアントの増加によりナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)が発動していると推測する。本研究ではPAHでのスプライシング変異NMD仮説を次世代シークエンサーが苦手とする欠失/重複/転座を検出する解析法等を確立し未解明変異制御機構への挑戦を行う。 当該年度では、BMPR2 mRNAスプライシングバリアント検出法を確立した。確立したスプライシングバリアント検出法を用いてBMPR2遺伝子変異陽性症例の末梢血と剖検組織、PAH非疾病者の末梢血検体を用いて、組織特異的および末梢血中に一般的に発現しているスプライシングバリアントの有無を検証した。スプライシングバリアントが生じているものは可能な限り塩基配列解読によって同定した。前年度ならびに当該年度で解析系の確立を概ね終えたため未解明変異制御機構の検証準備が整った。次年度はPAH発症に関わる潜在するBMPR2の遺伝的変異とエピジェネティクスの詳細を検証し発症メカニズム解明と早期診断への応用を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続き、解析系の確立がおおむね順調に進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度ならびに当該年度に確立した検出法を用いてPAH症例にてイントロン内変異、スプライシングバリアントの有無の検証する。またスプライシング変異およびエキソン欠失変異症例検体をマイトゲン処理による幼若化リンパ球をNMD阻害薬で処理しBMPR2 mRNAの発現動態解析を行いNMD検出の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該年度にて確立したスプライシングバリアント検出法が当初予定していた反応原理と異なるものとなり、検証を含め必要最低限の使用額に抑えたため。 (使用計画) 未解析症例を解析するために必要な実験消耗品に使用する。
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Research Products
(1 results)