2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanism of hydrogen inhalation
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16K19425
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 信一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50770864)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 水素 / 治療 / 吸入 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞モデルマウスの、水素吸入群とコントロール群にそれぞれおいて、まず脳をすりつぶして脳全体における代謝物の定量的比較を行った。この研究により、水素の標的である可能性の高い2つの生体高分子を割り出した。次に、imaging mass spectrometry (IMS)と代謝物の定量技術を組み合わせるて当教室で開発された定量的質量分析イメージング(Q-IMS)を用いて、脳内の解剖学的分布を含めてさらに代謝物のプロファイリングを行った。この解析でも同一の分子が水素の標的高分子となりうることが推察された。複数の個体におけるQ-IMSのデータを効率的に比較する技術は特許申請中であり、この技術の応用について論文発表を行った。 続いて水素の脳梗塞巣に対する到達経路解明のために、コンピュータシミュレーションを用いてマウスの脳の標的部位に単純拡散でどのように水素が到達するかという計算を行った。口腔、鼻腔などの気相からの単純拡散のみで、中大脳動脈を閉塞した際に虚血になる部位で、水素濃度が10μM程度まで上昇することが示された。次に脳梗塞にしたマウスの梗塞巣に水素電極を挿入し実際に1.3%の水素を吸入させた時の水素濃度を測定した。この実験でも、水素濃度は梗塞部位において10μM程度までの上昇にとどまることが示され、シミュレーションの結果と合わせて単純拡散で水素が梗塞部位に到達している可能性が示唆された。この仮説を検証するために気相からの距離を変化させ各部位での水素濃度を測定、プロットを行なったが、マウスの脳では小さすぎたため、有用な結果が得られなかった。そのため、この検証は将来の研究で明らかにする。
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Research Products
(3 results)