2016 Fiscal Year Research-status Report
成人先天性心疾患におけるサルコぺニア(骨格筋量・筋力低下)と肥満の原因と対策
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16K19432
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
椎名 由美 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医員 (90436361)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サルコペニア / レジスタンストレーニング / グレリン / レプチン / 肥満 / 成人先天性心疾患 / チアノーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
成人先天性心疾患のサルコペニア・肥満は背景の心疾患以外に心血管病のリスクを高める要素である。小児先天性心疾患患者(特にチアノーゼ性心疾患)においては内分泌的異常(摂食増進ホルモン:グレリン・食欲低下ホルモン:レプチンの異常分泌)があり肥満の原因になることが判明している。今回成人先天性心疾患46人において調べたところ、健常群と比較し血中のグレリン分泌はむしろ低下しており、レプチン分泌は健常群と有意差が無かった。特に単心室フォンタン循環やチアノーゼ残存の複雑心奇形においてグレリンが著明に低下している結果となった。33人の心不全の主要な因子を多変量解析にて調べたところ、浮腫率・体脂肪率・NT-proBNP(心不全マーカー)・SPO2(静脈血酸素飽和度)・グレリンが重要な因子であった。当初予想していたIL-6やTNF-αといった炎症マーカーは心不全の主要な因子としては残らず、小児と成人の先天性心疾患患者における内分泌的異常は明らかに異なり、また成人においてはこの内分泌的異常と心不全との間に何らかの関係があることが示唆された。 成人先天性心疾患におけるレジスタンストレーニングの効果に関しては、現在20名程度が施行しており、成人先天性心疾患患者においてアミノ酸摂取下のレジスタンストレーニングにより①BMI低下②筋肉量増加(特に体幹の筋肉量増加)③体脂肪が減少④NT-proBNPが改善⑤心肺運動負荷によりPeakVO2の改善傾向を示している。症例数が少ないため次年度以降でエントリー数を増やす予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
28年度予算のみでは予算が足りなくなったため、29年度の4月よりエントリー再開とした。
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Strategy for Future Research Activity |
①平成28年度研究で成人先天性心疾患におけるレジスタンストレーニングの効果があることはある程度確認ができたが、今後は症例数を増やし明らかな有意差を示す。 ②内分泌的異常が存在することは判明したが、アミノ酸の吸収や代謝が健常人と同じか否か不明である。筋肉を増やすための適切なアミノ酸摂取量が不明であるため、成人先天性心疾患における必須アミノ酸代謝に関して、血液検査データを解析する。
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Research Products
(2 results)