2016 Fiscal Year Research-status Report
ペリオスチンを基盤とした間質性肺炎における線維化機序の解明と新規治療薬の開発
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16K19457
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
小川 雅弘 佐賀大学, 医学部, 助教 (90599317)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / ペリオスチン / インテグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性肺炎は、肺の間質に慢性的な炎症・線維化を伴う疾患であり、その機序については不明な点が多く、予後も極めて悪い。ペリオスチンは細胞表面上のインテグリンに結合して炎症性のシグナルを誘導する作用を有する細胞外マトリックスタンパク質であり、我々の研究室では、ペリオスチンが間質性肺炎における肺の線維化の形成過程において重要な役割を果たしていることをi以前明らかにしている。本研究においては、間質性肺炎におけるペリオスチンを介した炎症シグナル、ならびに線維化機構の解明を目指し、ペリオスチン―インテグリン間の結合を標的とした阻害剤の間質性肺炎に対する治療効果を検討している。 本年度においては、インテグリンに対する阻害効果が期待される20種類の薬剤の効果の比較検討を行った。まず、ペリオスチン―インテグリン間の結合に対する効果の検討を行った結果、5種の薬剤が有為に抑制することを見出した。次に、炎症に対する抑制効果に関しても検討を行った結果、この5種の薬剤は炎症を有為に抑制することを明らかにすることが出来た。また、薬剤の阻害効果が、それぞれ相関することも見出している。 前述の5種の薬剤の1つであるCP4715がペリオスチン―インテグリン間の結合を特異的に阻害する効果を有し、かつ副作用が少ないことが期待されている。その為、CP4715を間質性肺炎のモデルマウスに投与する実験の条件検討を行った。CP4715が腸管からの吸収が悪いことが示唆されているため、マウスの皮内に投与し、持続的な効果を期待できる浸透圧ポンプを用いた解析を試みている。疾患の抑制効果を示すデータが幾つか得られていることから、今後はより条件を検討し、解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インテグリン阻害効果剤のペリオスチン―インテグリン間の結合に対する効果を明らかにすることが出来ている。疾患モデルマウスに対する薬剤の投与実験については、今後も条件検討が必要ではあるが、概ね良好な結果は得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究により、ペリオスチン―インテグリン間の結合に対する効果を明らかにすることが出来ているので、効果を示す薬剤の化学構造を詳細に解析し、薬剤効果と化学構造の関連性を明らかにすることを目指している。 また、疾患モデルマウスに対する薬剤の投与実験については、今後も条件検討が必要であるので、投与方法、投与量、解析方法などの検討を進めていく予定である。
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