2017 Fiscal Year Annual Research Report
Growth regulation of tracheal basal stem cells by mesenchyme during regeneration.
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16K19462
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田所 友美 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20507644)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 組織幹細胞 / 気道上皮 / 細胞増殖制御 / 幹細胞ニッチ / Bmpシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
In vitro実験により、気道上皮幹細胞の増殖制御におけるBmpシグナル伝達経路の関与が示唆された。この結果を受け、本年度はin vivoにおける気道上皮幹細胞の増殖制御へのBmpシグナル伝達経路の働きについて解析を進めた。 まず、気道傷害時のBmpシグナル経路の変化について検討を行った。組織解析により、傷害前は気道上皮においてBmpシグナルの下流分子pSmad1,5,8陽性細胞が観察されたが、傷害後24時間では発現が認められなかった。次に、気道傷害時のBmpシグナル関連遺伝子発現の解析を行った。その結果、リガンドであるBmp2, 4, 5, 6とBmp受容体Acvr1, Bmpr1a, Bmpr1bの発現量が低下していた。一方、アンタゴニストであるFstの遺伝子発現は顕著に増加し、気道上皮・間質の両方で発現していた。以上の結果より、気道傷害後にBmpリガンドの発現が低下し、Fstの発現が上昇することにより、気道上皮幹細胞におけるBmpシグナルが抑制され気道上皮幹細胞の増殖が促進されると考えられた。 これを実証するため、気道傷害後の細胞増殖に対するBmp阻害剤の影響について検討を行った。気道上皮細胞は傷害後に減少した後、4日目で傷害前の約1.6~2倍に増加し、2週間後には傷害前の細胞数へと回復する。ライブセルイメージングにより、気道上皮の表面でアポトーシス細胞が周囲の細胞に押し出される様子が観察され、気道上皮が細胞密度を一定に保つ機構の存在が示唆された。Bmp阻害剤投与群では非投与群と比較して、傷害後4日目に有意に気道上皮細胞数が増加したが、7日目には差は見られなかった。つまり、Bmpシグナル伝達経路は細胞密度を一定に保つ機構には影響がないものと考察された。以上より、Bmpシグナル伝達系を制御することにより気道傷害からの回復を促進する薬剤の開発などへの応用が見込まれる。
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