2016 Fiscal Year Research-status Report
肺炎球菌性肺炎における気道上皮由来の新規サイトカインの生体防御への寄与
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16K19466
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鎌田 浩史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60528545)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Sectm1aノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、単離した肺気道上皮の遺伝子発現の網羅的解析を行い、肺炎球菌感染時に気道上皮が特異的に産生するサイトカインを複数同定し、それらのサイトカインのなかでも、Secreted and Transmembrane 1a (Sectm1a)が肺炎球菌感染時に気道上皮においてきわめて強く誘導されることを見出した。これまでの我々の研究成果では、気道上皮に由来するSectm1aは、細菌感染に対して中心的役割を担う好中球の肺内への集積に大きく関与する可能性が示唆されている。Sectm1aの生体における機能に関する報告は、我々の研究成果以外ではPubmed上に1報しか存在しおらず、本研究はきわめて新規性が高いと考えられる。 本研究課題においては我々はSectm1aがどのように肺炎球菌に対する免疫反応に関与し、さらに、どの程度生体防御に寄与するかを明らかにすることを目的としている。その方法として我々は平成28年度に世界に先駆けてSectm1aノックアウトマウスを作成した。具体的にはUC DavisよりSectm1aノックアウトマウス凍結精子を購入し、理化学研究所(筑波)で個体化を行い、最終的に我々の施設にそれらのマウスを搬送した。現在それらのマウスの繁殖と飼育を継続している。 今後は世界初となるSectm1aノックアウトマウスを用いて、いまだほぼ未解明なSectm1aの生体における機能的意義を明らかにする。Sectm1aの生体での病原体感染時における機能を解明することは、呼吸器感染症治療学の分野に意義のある新たな知見をもたらしうると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国から凍結精子を空輸し、他施設(理化学研究所 筑波)で固体化し、生まれたマウスを当施設に搬送し繁殖を行ってる。諸手続きなどを含め、概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Sectm1aノックアウトマウスに対して肺炎球菌の気道内投与を行い、感染後の肺内の菌量の推移、急性肺損傷の程度、死亡率を野生型と比較する。そして肺内での免疫反応の違いも両群間で比較する。特にSectm1aは我々が過去に得た知見から、好中球の機能を修飾すると考えられるため、好中球の肺内での動態の違いに着目して研究を進める。
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Causes of Carryover |
購入予定であったELISAキットが次年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ELISAキットを購入予定である。
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