2016 Fiscal Year Research-status Report
近位尿細管におけるメガリンを介したリン代謝調節機構とリン関連腎障害機序の解明
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16K19481
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
桑原 頌治 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (70645209)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン代謝 / 近位尿細管 / klotho / FGF23 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は腎臓、近位尿細管細胞における新規リン代謝調節機構の検討である。近年新たなリン代謝調節因子としてFGF23そして老化関連因子であるklothoが報告された。FGF23とklothoはそれぞれが相互作用することで腎臓近位尿細管でリン代謝調節を担う、リン輸送体の機能調節を行うことが明らかにされている。しかしながらFGF23、klothoは腎臓遠位尿細管細胞に発現しており標的とするリン輸送体と局在が異なることが示されており、その詳細な調節機構がいまだ明らかになってはいない。 本研究において、腎臓近位尿細管に発現する多種のリガンドを特徴とするメガリンという受容体に着目し、FGF23、klothoによるリン輸送体調節機構の解明を目指している。我々の作成した腎臓特異的メガリンノックアウトマウスを用いた検討で、尿中にklothoタンパク質が検出された。また水晶発振子マイクロバランス法を用いて、メガリンタンパク質とklothoタンパク質が直接結合する可能性を見出している。この実験結果から、循環するklothoタンパク質が糸球体を濾過し、近位尿細管細胞においてメガリンを介したこれまでに明らかになっていないリン代謝調節機構が存在する可能性を示唆している。実施計画であるklothoノックアウトマウスに対するレスキュー実験は計画通り進行し、予想通りの結果を得ることに成功した。またそのレスキュー実験で用いたklothoはメガリンリガンドである可能性も明らかになり、メガリンを介した新規リン代謝調節機構という仮説の証明となる結果を集められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画とした、klothoノックアウトマウスを用いたレスキュー実験をおおむね計画通り遂行することができた。一方で当該ノックアウトマウスの特徴として検体量の制限が不可避であり、検査項目全ては解析できてはいない。これらの理由により、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画通り進めている。klothoノックアウトマウスの検体量不足に関しては追加実験を計画している。また少量の検体でも解析できるように新たな実験方法ないし、新たな機器の導入を検討している。
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