2017 Fiscal Year Research-status Report
糸球体腎炎・腎臓病の発症進展における銅含有酵素を介した酸化ストレスの影響
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16K19482
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒巻 裕一 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70529742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セルロプラスミン / 慢性腎臓病 / 腎性貧血 / エリスロポエチン抵抗性指数 / エリスロポエチン低反応性 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景として、慢性腎臓病(CKD)患者において血清ceruloplasmin(Cp)25.5 (mg/dL)以上の高値は心血管イベントと発症に関連し(CJASN 2014)、慢性炎症を反映し得る。そのため、当該年度の目的として、CKDstageG5D期におけるCp値と腎性貧血のエリスロポエチン刺激因子(ESA)低反応性の関連を調査した。 方法は、後ろ向きの横断研究。対象は維持血液透析中で腎性貧血を治療中の患者とした。透析前血清Cp値と、過去12週間の透析前検査から算出した体重・平均ヘモグロビン当たりエリスロポエチン抵抗性指数(ERI)(μg/kgBW/g/dL/week)の関連を検討した。 結果を提示する。対象は141名(男85名)、年齢68.3+-13.8歳、透析期間中央値6.2年(最小0.2年、最大44.5年)、糖尿病49名(34.7%)。Cp 25.5で2群に分けたとき、Cp高値群はERI 9.11+-8.83で、Cp低値群のERI 6.32+-4.86より高い傾向を示した (P = 0.07)。ERI > 20をESA低反応性と定義した時、ERI>20群ではCp 30.5 +- 9.9でERI < 20群のCp 22.3 +- 4.2より高値を示した(p < 0.05) 結論として因果関係は不明だが、血清Cp値はESA低反応性と関連する可能性がある。 以上の内容を、平成30年日本腎臓学会学術集会に発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、慢性腎臓病とCpの関連の検討として腎病理組織学的にアプローチした。既報で老齢モデルラットと申請者の腎炎モデルマウスとともに発現部位が一致した一方、ヒト正常腎組織においては免疫染色プロトコールの検討にも関わらず、特異的な染色性は認め なかった。この結果は、The Human Protein Atlasにおける検討と一致している。さらに申請者は最終的にCpとヒト糸球体腎炎の関連、進展機序の解明を目的にしておるため、これまでの結果は腎特異的発現の検討方針に結論をつけられた。 申請者は引き続き、保存血清中のCpと腎疾患ごとの腎予後の関連を検討し、CKDにおける血清Cp高値と腎性貧血の関連を示唆するけ化を得ることができた。既報から慢性炎症との関連が示唆されており、腎性貧血の治療は保存期CKDの進行に関連し得る。申請者の上述の追加の研究計画からは、Cpと慢性腎臓病の発展進行との関連に一定の結果が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の残余検体を用いて慢性腎臓病・血液透析患者の慢性炎症とCp、ESA低反応性に関与する追加検討を加えることを、検討する。患者プロファイルとのCp値とのより詳細な検討を加える。
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Research Products
(2 results)