2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of oxidative stress mediated by copper-containing enzymes in the progression of kidney disease
Project/Area Number |
16K19482
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒巻 裕一 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70529742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 銅 / 亜鉛 / 血液透析 / セルロプラスミン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、慢性炎症を反映し得る銅含有酵素セルロプラスミンと、慢性腎臓病に合併する腎性貧血のエリスロポエチン刺激因子(ESA)低反応性と関連することを示した。ところで銅は亜鉛と消化管から競合的に吸収され、また亜鉛が炎症・腎性貧血との関連が指摘されている。さらに亜鉛欠乏症の診療指針2018が発表され、慢性腎臓病・透析患者における亜鉛の実態が改めて注目されている。当該年度の目的として、CKDstageG5D期における亜鉛値とESA低反応性、さらに銅・銅含有酵素との関連を調査した。 方法は、後ろ向きの横断研究。対象は維持血液透析中で腎性貧血を治療中の患者163名とした。透析前血清亜鉛値と血清銅、エリスロポエチン抵抗性指数(ERI)、ならびに臨床検査との関連を検討した。結果を提示する。対象は163名(男104名)、亜鉛欠乏症(60μg/dL未満)は73名(44.8 %)、潜在性亜鉛欠乏症(60~80)は79名(48.5 %)であった。亜鉛60μg/dLで2群に分けたとき、低亜鉛血症群はERI 5.53(0.47-40.8)で、非亜鉛血症群ERI 4.67(0.19-18.5)より高い傾向を示した(n.s.)が有意差はなく、ERI > 20をESA低反応性と定義した時も2群間で亜鉛値に差はなかった。一方、亜鉛は銅と正の相関を示した。Znを従属変数とする重回帰分析では、血清亜鉛を説明し得る有意な正の因子として、Alb, 銅、無機リン、鉄が選択された。 結論として血清Cp値と異なり、血清亜鉛値はESA低反応性との関連は示さなかった。興味深いことに血液透析患者の亜鉛と銅は正の相関を示し、亜鉛欠乏症では同時に銅も低値の傾向の可能性を示した。血液透析患者への過剰な亜鉛は、銅吸収を競合阻害し銅欠乏症をおこす恐れがある。以上の内容を、平成31年日本透析医学会学術集会に発表予定である。
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