2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒストンバリアントH3.3をターゲットとした、腎線維化に対する治療方法の確立
Project/Area Number |
16K19489
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 健介 広島大学, 病院(医), 病院助教 (40770326)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 腎線維化 / エピジェネティクス / ヒストンバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
腎線維化に深く関与するTGF- β1シグナルの阻害は、高度な炎症を惹起するため、臨床応用が困難であると考えられている。申請者らは、ヒストンメチル化酵素の作用阻害により、ヒストンH3K4メチル化やヒストンH3K9メチル化の阻害を介して、TGF-β1の線維化促進作用と抗炎症作用の分離が可能となることを報告し、転写活性の制御が重要な治療ターゲットであることを示した(Sasaki K, et al. J Am Soc Nephrol,27:203-215,2016. / Irifuku T, Sasaki K, et al. Kidney Int,89:147-57,2016.)。近年、ヒストンバリアントが、転写活性を亢進させる遺伝子をマーキングする役割を担っていることが明らかになり、それらをヒストンに組み込む特異的なヒストンシャペロンも明らかにされている。本研究では、転写活性亢進のマークであるヒストンバリアントH3.3とそのヒストンシャペロンHIRAの腎線維化への関与を明らかにし、HIRA阻害剤の投与により腎線維化が改善することを証明する。 申請者らは、腎線維化モデルを用いて検証的実験を行った結果、線維化した腎臓において、ヒストンバリアントであるH3.3と、その特異的ヒストンシャペロンであるHIRAの発現上昇を確認した。さらに、si-RNAやTGF-β1中和抗体を用いてH3.3やHIRAの阻害をすることで、腎線維化が改善することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎線維化マウスモデルや細胞培養において、ヒストンシャペロンHIRAを介した、ヒストンバリアントH3.3の阻害により、腎線維化を抑制することが可能であることが確認されており、本研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒストンバリアントが線維化遺伝子の発現調節に直接関与するかどうかを確認するため、ヒストンバリアントの組み込まれた遺伝子領域に線維化に関連した遺伝子が存在することを、ChIP Assayを用いて検討する。
|