2016 Fiscal Year Research-status Report
ポドサイトにおけるアンジオテンシン阻害薬によるエピゲノム修復効果の検討
Project/Area Number |
16K19496
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 香 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60445294)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポドサイト / KAT5 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近申請者は腎糸球体ポドサイトにおける転写因子KLF4およびDNAメチル化酵素DNMT1を介したエピゲノム調節について報告した(JCI2014, KI 2015)が、本研究においては、それらをつなぐ因子としてヒストンアセチル化酵素KAT5/Tip60に着目して検討を進めた。 ポドサイト特異的KAT5ノックアウト(KO)マウスを作成したところ、著明なアルブミン尿、巣状分節性糸球体硬化病変を認めた。KOマウスのポドサイトにおいては、ネフリンの発現が低下しており、ポドサイト数の減少、TUNEL染色陽性ポドサイトの増加が認められた。糖尿病性腎症においては、予備検討と同様KAT5発現が低下していることが確認され、既報の方法でKAT5遺伝子を遺伝子導入するとアルブミン尿の改善が認められた。 またヒト培養ポドサイトを用いた検討では、高糖条件下のヒト培養ポドサイトにKAT5を遺伝子導入すると、ネフリン発現の改善、ネフリンプロモーター領域のDNAメチル化低下、DNMT1結合低下が認められ、KAT5によりネフリンプロモーター領域のDNMT1結合低下、メチル化低下を介して、ネフリン発現が上昇する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポドサイト特異的KAT5ノックアウトマウス作成も順調に進捗しており、フェノタイプの解析も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
KAT5のポドサイトにおける役割を検討するため作成したポドサイト特異的KAT5ノックアウトマウスは著明なアルブミン尿を呈したが、発生段階における関与が否定できないため、今後タモキシフェン誘導型マウスや in vivo grade siRNA投与などによる検討を予定している。また、KAT5はDNA損傷修復において重要な因子であることから、DNA損傷修復応答とエピゲノム変化形成の関連について現在さらに検討を進めている。
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Causes of Carryover |
効率的な科研費使用を行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の消耗品費として使用予定である。
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