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2016 Fiscal Year Research-status Report

Protein-Energy Wastingの発症・進展における褐色脂肪の関与

Research Project

Project/Area Number 16K19498
Research InstitutionTokyo Medical University

Principal Investigator

長井 美穂  東京医科大学, 医学部, 講師 (60459526)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords褐色脂肪 / 血液透析 / 低栄養
Outline of Annual Research Achievements

慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)患者では異化亢進を来たしやすいエネルギー消耗状態にあるが、同患者の栄養障害やそれに伴うサルコペニアの発症・進展機序の詳細は明らかでない。CKD患者では、経口摂取の低下のみならず、尿毒素の蓄積,代謝亢進、炎症、酸化ストレス、インスリン抵抗性など複数の要因が関与し、体蛋白(骨格筋)やエネルギー源(体脂肪)が減少するが、2006年の第12回国際腎栄養代謝学会において、この様なCKDにおける栄養障害は、蛋白異化亢進と過度の食事制限と食欲減退などによる蛋白摂取量低下に基づくことから、「protein-energy wasting(PEW)」と呼ぶことが提唱された。本研究では、褐色脂肪がCKDにおけるPEW病態形成に及ぼす影響の観点から、PEWの発症機序を解明することを目的としている。
本研究では、まず白色脂肪細胞の褐色化を誘導する骨格筋由来の生理物質であるイリシンの血中濃度を血液透析患者で測定し、栄養スクリーニング指標、エネルギー必要量に加え、炎症性サイトカイン、食欲制御因子などとの関連を検討する。合わせて時間分解近赤外分光法装置による褐色脂肪組織の検出・定量を併せて行う。これにより、褐色脂肪細胞への分化に寄与する可能性のある腎不全の病態や、褐色脂肪が腎不全におけるPEWの病態形成に及ぼす影響について検討している。
平成28年度は、血液透析患者および対照者における褐色脂肪定量の測定を施行した。また、血液透析患者の血液検体の採取を行った。その他、交感神経活性の指標となる心電図の測定と、インピーダンス法による体組成の計測を施行し、BDHQによる栄養評価も併せて行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

維持血液透析患者を対象として、(1)PEWの診断を含めた従来の栄養評価、(2)炎症性サイトカイン(血中IL-1、IL-6、TNF-α、ならびに高感度CRPなど)の血中濃度、(3)褐色脂肪誘導因子であるイリシンの血中濃度、(4)褐色脂肪細胞定量について調査し、(5)年齢、透析歴、腎不全の原因疾患などの臨床プロフィールとこれらの関係を検討することで、褐色脂肪細胞への分化に寄与する可能性のある腎不全の病態や褐色脂肪細胞が腎不全におけるPEWの病態形成に及ぼす影響を明らかにする。イリシンはEnzyme-Linked Immunosorbent Assay (ELISA)法で測定し、血液透析の影響を併せて検討する。褐色脂肪組織の検出には、時間分解近赤外分光法装置を用いる。交感神経活性による刺激が褐色脂肪の増加をきたすことから、交感神経の評価に際し、(6)心電図のRR間隔のゆらぎ測定による心拍変動解析を併せて行う。
平成28年度は、血液透析患者および対照者における褐色脂肪定量の測定を施行した。また、血液透析患者の血液検体の採取を行った。その他、交感神経活性の指標となる心電図の測定と、インピーダンス法による体組成の計測を施行し、BDHQによる栄養評価も併せて行っている。実際に採取した血液検体を用いたELISA測定のみ現在未施行で準備中である。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度に、血液透析患者および対照者における褐色脂肪定量の測定を施行している。また、血液透析患者の血液検体の採取を行った。その他、交感神経活性の指標となる心電図の測定と、インピーダンス法による体組成の計測を施行し、BDHQによる栄養評価も併せて行っている。血液検体は採取・保存が完了しているが、実際に採取した血液検体を用いたELISA測定のみ現在未施行で準備中であり、今後、炎症性サイトカイン(血中IL-1、IL-6、TNF-α、ならびに高感度CRPなど)の血中濃度、褐色脂肪誘導因子であるイリシンの血中濃度について測定する予定。
平成29年度は、平成28年度同様、維持透析症例を対象として、(1)protein-energy wasting(PEW)の診断も含めた栄養評価、(2)褐色脂肪誘導因子であるイリシンの血中濃度、(3)褐色脂肪細胞定量を行い前年からの経時的変化についても検討する。更に、平成29年度は、(4)食欲抑制ホルモン(血清中のレプチン、グレリン、ネスファチンなどの食欲抑制ホルモンの血中濃度についてELISA法にて調査し、これら(1)~(4)と(5)年齢、透析歴、腎不全の原因疾患などの臨床プロフィールとの関連を検討することで、褐色脂肪細胞への分化に寄与する可能性のある腎不全の病態や、褐色脂肪が腎不全におけるPEWの病態形成に及ぼす影響について検討し、経時的変化をみることにより、褐色脂肪細胞の低栄養進行への関与についても検討する。

Causes of Carryover

平成28年度の褐色脂肪測定が3月であり、その際の使用金額精算が翌年度に繰り越しとなっている。また、採取した血液検体を用いたELISA測定が未施行で、これらに必要な物品を購入する必要がある。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記の精算および、採取した検体を用いたELISA測定物品を購入予定である。その他、現在施行した栄養評価の解析委託費用の発生や、経時的栄状況の変化により群別した上で、再度測定予定であり、さらに、食欲制御因子についてもELISA測定予定である。また、得られた結果を国内外の学会および論文で公表予定であり、報告に関わる費用も発生予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2016

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 4.栄養 「Dialysis therapy,2015 year in review」2016

    • Author(s)
      長井美穂,神田英一郎,菅野義彦
    • Journal Title

      日本透析医学会雑誌

      Volume: 49 Pages: 722-724

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 透析患者の食事療法基準,透析患者の栄養管理の実際2016

    • Author(s)
      長井美穂,菅野義彦
    • Journal Title

      日本透析医学会雑誌

      Volume: 50 Pages: 133-138

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 我が国に必要とされるガイドラインとは?2016

    • Author(s)
      長井美穂,神田英一郎,菅野義彦
    • Journal Title

      日本透析医学会雑誌

      Volume: 49 Pages: 772-774

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 4.栄養 「Dialysis therapy,2015 year in review」2016

    • Author(s)
      長井美穂,神田英一郎,菅野義彦
    • Organizer
      日本透析医学会学術集会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      2016-06-10
  • [Presentation] 透析患者の食事療法基準,透析患者の栄養管理の実際2016

    • Author(s)
      長井美穂,菅野義彦
    • Organizer
      日本透析医学会学術集会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      2016-06-10
  • [Book] PEWの診断基準を教えて下さい,いまさら聞けない!CKD患者 栄養・運動療法の考え方2016

    • Author(s)
      長井美穂,菅野義彦
    • Total Pages
      116-119
    • Publisher
      中外医学社

URL: 

Published: 2018-01-16  

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