2017 Fiscal Year Research-status Report
自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた包括的慢性腎不全治療法の開発
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16K19499
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
横手 伸也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30459656)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / アデニン / 血管石灰化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】急性腎不全モデル及び腎移植における間葉系幹細胞移植の有効性の報告が散見されているが、慢性腎不全モデルや血管石灰化に対する脂肪由来間葉系幹細胞移植(ADMSC)の影響についての報告は少ない。【方法】8週の雄性SDラットの大腿部脂肪を摘出し、ADMSCを樹立し、10週齢より0.75%アデニン含有食を4週間投与し、腎不全石灰化モデルラットを作成した。治療(T)群(n=7)にはアデニン食開始時より1週間おきに計5回5.0×10<SUP>5</SUP>個のADMSCを静脈注射し、コントロール(C)群(n=9)には1週間おきにPBSを静脈注射した。アデニン食投与4週間後にと殺し、腎組織及び血管石灰化について検討した。【結果】T群では、C群に比べ、有意に腎臓の線維化が抑制され(P<0.05)、尿中クレアチニン排泄量及び24時間クレアチニンクリアランスは有意に増加していた(P<0.05)。また、血清リン及びi-PTHは治療群で有意に低下していた。血管内のカルシウム及びリン含有量は、T群で有意に減少しており(P<0.05)、血管内のオステオポンチン及びオステオカルチン発現は、T群で有意に低下していた。【結論】アデニン腎不全石灰化モデルラットにおいて、ADMSCは腎機能の増悪及び血管石灰化進行を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASCsがアデニン腎不全ラットの腎障害に与える影響に関する検討では、組織学的にASCsの腎障害進行抑制効果が認められ、英語論文投稿を行った(Sci Rep. 2017 Oct 25;7(1):14036.)。 現在、脂肪由来間葉系幹細胞が同種後腎移植に与える影響に対する検討を行なっているが、過去の間葉系幹細胞による免疫制御効果の報告も含め、ASCsが移植後腎の発育にとってpositiveな影響を与えることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、脂肪由来間葉系幹細胞が同種後腎移植に与える影響に対する検討を行なっている. 研究目的・方法 8週齢の雄性LEWISラットのソケイ部より皮下脂肪を摘出し、その皮下脂肪より脂肪由来間葉系幹細胞(adipose derived mesenchymal stem cells:以下ASCs)を抽出する。抽出したASCsは表面マーカー発現パターンを確認し、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞への分化誘導が可能であることを確認する。 妊娠15日の同種妊娠ラットより胎仔を摘出し、顕微鏡的に腎原器(後腎)を胎仔より摘出し、その後腎をASCsを立ち上げている雄性ラットの傍大動脈領域に移植する。ラットは2群(ASCs群、コントロール群)に分け、ASCs群は後腎移植時及び1週間後に計2回ADMSCs1×106個/PBS 1mLをラットの尾静脈より投与し、コントロール群は同様に1週間おきに計2回PBS1mLをそれぞれ尾静脈より静脈投与を施行する。後腎移殖後2週間でと殺し、レシピエントラット内で発育した後腎の発育具合を評価する。後腎の発育は、発育重量(g)、組織(HE、Masson、TUNEL、CD68、collagenI等)、real-time PCRで評価する。
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Causes of Carryover |
実験計画が速やかに進行し、論文投稿時の追加実験が必要なかったため、物品費が当初の予想より少なくなった。また、当初出席を予定していたアメリカ腎臓学会への参加を見合わせたため、旅費が少なくなった。本年度は、後腎移植に対する間葉系幹細胞移植の影響の実験(動物購入、間葉系幹細胞培養関連用品)、アメリカ腎臓学会参加費用にあてる予定である。
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