2017 Fiscal Year Annual Research Report
inhibitors of amyloid beta oligomerization in human cerebrospinal fluid
Project/Area Number |
16K19506
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
池田 篤平 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (30755773)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 脳脊髄液 / アミロイドβ / アンギオテンシン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に同定した20のペプチド配列について、PICUP法Aβをオリゴマー化抑制作用、さらにはサイオフラビンT法をもちいて凝固抑制作用を検討した。20種のペプチドのうちの8種類が比較的強い抑制力を発揮していることを確認した。その多くは既知ではないペプチドもしくは既知の蛋白の断片であったが、その中にはAngiotennsin I, II, およびIIIが含まれていた。 モノクローナル抗体を作成し、CSF中の濃度測定、阻害試験の実施を予定していたが、AngiotensinI, II, IIIを含んだ8種のペプチドは、いずれも非常に短く、抗体の作成は困難であると判断された。 そこで、ELISA法を用いて、ADおよび非AD患者の脳脊髄液の、Angiotensin I, II, IIIの濃度測定をおこない、比較することによって、Angiotensin I、II、IIIの関与を証明する方針とした。しかし、測定を行っても、濃度が低いこと、他蛋白による阻害と考えられる測定系の不安定さがあり、比較を行うことができなかった。 これらのペプチドは脳内に存在すると推測される濃度に調整した上で、PICUP法、サイオフラビン法を用いた検討を行ったが、いずれも単独ではCSFと同等の抑制力を発揮しておらず、これらのペプチドが相加的・相乗的に効果を発揮しているものと推察された。いずれも生体内で発見された抑制物質であることから、投与可能であると考えられ、アルツハイマー病治療薬の有力な候補となる。さらにはantiotensinI、II、IIIが含まれることから、既知のアンギオテンシン変換酵素阻害薬などのアンギオテンシン修飾薬もアルツハイマー病治療薬としての観点からの再評価により、今後の治療薬の有用な選択肢となり得ると考えられた。
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