2016 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性パーキンソン病由来iPS細胞を用いたドパミン神経特異的疾患モデルの確立
Project/Area Number |
16K19524
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石川 景一 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (90733973)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / iPS細胞 / ドパミン神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
疾患iPS 細胞を含めてパーキンソン病(PD)の病態研究は盛んに行われているが、なぜドパミン神経が特異的に障害され何が根本原因なのか未だ解明されておらず、治療法も対象治療に留まっている。本研究計画では複数の遺伝性パーキンソン病(PARK2/4/6/8/9/22)患者由来iPS 細胞を用い、独自に改良した方法により純度の高いドパミン神経細胞および運動神経細胞を分化誘導し、種々のストレスを負荷することでドパミン神経機能異常に基づいたヒトドパミン神経疾患モデルを確立し、さらに運動神経と比較することでパーキンソン病病態のドパミン神経特異性の原因にも迫ろうとするものである。平成28年度においては主に以下の研究を行った。 ①未樹立であったPARK4患者由来iPS細胞を、患者血液サンプルから樹立し、解析に使用するiPS細胞クローンを決定した。②PARK2/6-iPS細胞由来ドパミン神経細胞におけるマイトファジー異常およびミトコンドリア毒脆弱性の検出手法を確立した。③iPS細胞からのより高純度なドパミン神経細胞誘導法を確立し、同誘導法を用いることでより高感度にPARK2由来ドパミン神経細胞におけるマイトファジー異常を検出でき、またミトコンドリア標識タンパク質mt-Keimaを用いたマイトファジー検出方法を確立した。これらの成果は一部を英文誌および学会にて報告した。樹立したPARK4および他の家族性パーキンソン病患者由来ドパミン神経細胞における異常についても現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度中に行う予定であったiPS細胞の樹立は終了し、また来年度にかけて行う予定であった複数の遺伝性パーキンソン病患者由来ドパミン神経細胞における異常検出も大きな問題なく進行しており、全体としておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では概ね順調に進行しており、引き続き各家族性パーキンソン病患者ドパミン神経における異常の検出を行う。予定している全ての疾患ラインでの異常を検討した後には、当初の計画通り、パーキンソン病患者のドパミン神経に共通する病態異常に焦点を当ててその発症機序および治療法について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究計画は複数の疾患iPS細胞ラインを用いてその異常表現型を検出し、共通異常機構を見いだすことにある。平成28年度はiPS細胞のドパミン神経細胞誘導法改善、使用するiPS細胞の樹立などいわば異常解明を開始するための準備の実験が特に前半を占めた。また最終的には同一条件での研究を行うが、複数のiPS細胞ラインの異常を一度に解析するのではなく、個別の細胞について1つずつ条件検討や評価を行っている。これらの理由によりより費用がかかる疾患細胞における異常検出は年度後半から本格的に開始しており、一部を来年度使用額として繰り越しを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費のかかる病態解明を平成28年度後半から本格的に開始しており、また最終的に複数ラインのiPS細胞及び誘導を並行して行うことにより、培養費用も多く必要になることが見込まれる。予定している免疫染色やウエスタンブロッティングおよび培養費用により平成29年度は前年度からの繰り越し分も含めて使用することができる。
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Research Products
(6 results)