2017 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病原因遺伝子CHCHD2 が織りなすシグナルネットワークの究明
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16K19525
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
孟 紅蕊 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (90736498)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ミトコンドリア / CHCHD2 / alpha-Synuclein |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請で計画した実験により同定された結合分子p32は内在性レベルでの結合が生化学的な解析で見られた。しかし、ショウジョウバエの遺伝的相互作用解析の結果から有意な機能的関係が見いだせなかった。すなわち、p32の組織特異的ノックダウン(ノックアウトは致死)で、CHCHD2変異によるミトコンドリア表現型の増悪はみられなかった。また、p32の過剰発現でCHCHD2変異によるミトコンドリア変性を回復させる効果も見られなかった。一方、CHCHD2自分自身がホモ2量体を形成すること、病因変異体で2量体の形成効率、可溶化度の低下を観察し、病因変異により、タンパク質構造が変化し結合パートナーが不安定化することが示唆された。 CHCHD2変異パーキンソン病患者病理像が新たに分かり、CHDHD2がα-Synuclein の凝集化に関与することが強く示唆された。本所見はミトコンドリア機能異常がα-Synuclein凝集に積極的に寄与するエビデンスと考えられる。α-Synucleinの凝集化は神経脱落の原因の一つである。ミトコンドリア変性がα-Synuclein凝集を引き起こす分子メカニズムを理解するため、まずCHCHD2変異体導入したハエモデルを用いてα-Synucleinの加齢依存的な蓄積が再現できることを確認した。α-Synuclein発現CHCHD2変異ハエでは、加齢と共に界面活性剤であるサルコシルに不溶性のα-Synucleinが増加した。次に、細菌由来の光駆動型プロトンポンプをCHCHD2変異ハエミトコンドリアへ導入することにより、膜電位が回復し、α-Synuclein不溶化が抑制されることを明らかとした。この結果は、ミトコンドリアの機能低下による酸化ストレスがα-Synucleinの凝集化を促進すること、人為的なミトコンドリアの機能回復で、α-Synucleinの凝集化が抑制できることを示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳類培養細胞でCHCHD2結合タンパク質としてp32を同定し、ミトコンドリア変性を忠実に再現するパーキンソン病モデルハエを用いてCHCHD2とp32の遺伝的な相互作用を検討した。また、光駆動型プロトンポンプmito-dRをCHCHD2ノックアウトハエに導入し、ミトコンドリア機能改善およびドーパミン神経の脱落抑制を認めた。さらに、mito-dRの光刺激により、ハエ脳においてα-Synucleinの不溶化を抑制することを見出した。これらの結果をまとめて論文投稿準備中である。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
CHCHD2 の変異により生じるミトコンドリアの機能異常が、酸化ストレスによる細胞質内ユビキチン化修飾、タンパク質分解系の障害、脂質変化等を導きα-Synucleinの凝集促進をもたらすと考えられる。ここで、光駆動型プロトンポンプmito-dRは、ミトコンドリアの酸化ストレスを抑制する有効な手段と考えられる。酸化ストレスの抑制には、UCPによるmild uncouplingが関与していると考えられ、それを解明するための実験の追加により論文化を進める。
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Causes of Carryover |
次年度は、物品費で生化学試薬や抗体、ショウジョウバエ飼育費等に200,000円を充てる予定である。ハエ系統の維持と計画の迅速な推進のため人件費を予定しており、600,000円必要とする。
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Research Products
(3 results)