2016 Fiscal Year Research-status Report
メタボリックシンドローム発症における食事の欧米化による腸内細菌の変化の関与
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16K19538
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大久保 博史 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (80770734)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、欧米化した食事による腸内環境の変化を介したメタボリックシンドローム(MetS)発症のメカニズムを明らかにすることである。そのために、ヒトに関しては、日本人とロサンゼルス在住の日系米人、そしてマウスに関しては、通常食(NCD)あるいは欧米食のモデルとして高脂肪高蔗糖食(HFHSD)を与え、腸内細菌叢を含めた腸内環境を比較検討している。 ヒトに関しては、日系米人については、ロサンゼルス検診において、対照となる日本人については、広島在住の一般住民検診において、血液および便サンプルを入手した。現在、次世代シーケンサーを使用して、腸内細菌叢の解析を進めている。 マウスに関しては、HFHSD負荷マウスは、NCD負荷マウスと比較して、肥満を呈し、インスリン抵抗性および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症した。腸内環境については、HFHSD負荷マウスは、NCD負荷マウスと比較して、腸内細菌叢が変化し、腸管炎症が惹起されることを認めた。α-グルコシダーゼ阻害薬を投与すると、HFHSDによる腸内環境の変化が一部是正され、インスリン抵抗性やNASHの発症が抑制されることを報告した。この結果は、腸内環境が、メタボリックシンドローム発症に関与し、重要な治療標的となりうることを示唆した。更に欧米食による腸内環境の変化を明らかにするために、RNA-SeqでNCD群とHFHSD群の腸管の遺伝子発現を網羅的に解析した結果、腸管免疫等に関与する遺伝子発現が変化していることを認めた。 ヒトおよびマウスモデルにより、我が国でも進んでいる食事の欧米化による腸内環境の変化を明らかにすることにより、腸内環境の変化を介したメタボリックシンドローム発症の病態が明らかとなり、その予防につながる可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本人および日系米人の便サンプルを入手したが、次世代シーケンスによる腸内細菌叢の解析を現在進めている段階であり、やや進行が遅れている。また、マウス腸管の網羅的遺伝子発現解析に関しては、RNA-Seqは終了したが、解析を進めている途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在解析中である日本人と日系米人の腸内細菌叢の違いと身体所見、血液サンプルより得られた代謝パラメータ、栄養摂取状況との関連を統計学的に検討する予定である。また、RNA-SeqでNCD群とHFHSD群の間で差を認めた遺伝子群の中で、特に、腸管分泌タンパクに注目して、日本人および日系米人において血中濃度をELISA等で検討する。そして、血中濃度に差を認めた腸管分泌タンパクと代謝パラメータとの関連を統計学的に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
ヒトの便サンプルにおける腸内細菌叢解析が終了している予定であったが、現在、進行中であり、今後、その費用が発生するため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒトの便サンプルにおける腸内細菌叢解析に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)