2016 Fiscal Year Research-status Report
自然炎症・免疫軸に係る糖尿病性血管障害の分子動態の臨床意義の解明
Project/Area Number |
16K19543
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
牛込 恵美 (白石恵美) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (80440890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自然免疫リンパ系細胞(ILC) / 動脈硬化 / 糖尿病 / 糖尿病コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】平成28年度研究計画である、動脈硬化巣における自然免疫リンパ系細胞(Innate Lymphoid cell, ILC)動態の網羅的解析及び、動物モデルにおける病巣ILCと末梢血ILCの対応付けによる末梢血診断法の開発にむけ、動脈硬化モデルマウス(ApoEノックアウトマウス)の繁殖を行い、特殊試料を給仕、動脈硬化巣を採取している。現在は動脈硬化巣からのリンパ系細胞採取の予備実験を実施している。マルチカラーフローサイトメーターFACS CANT2を用いて、ヒトILC3の同定に成功した。平成29年度研究計画である、糖尿病大型コホートを活用したヒト末梢血ILCが動脈硬化評価マーカーとなりうるか、について検討を行っている。 【意義】動脈硬化の病態進展におけるILCの関与と内臓脂肪組織の慢性炎症におけるILCの関与を対比することにより、肥満・インスリン抵抗性という生活習慣病の基盤病態と動脈硬化という合併症の病態形成との連動を自然免疫の関与という視点から解明していく。また、糖尿病コホート研究と連関させることで、動物モデルの知見が実際の臨床にて応用できるかについても評価していく。ヒト末梢血ILCを評価し、動脈硬化症病巣局所の病態をモニターできるバイオマーカー開発につなげる。 【重要性】動脈硬化の病態進展・内臓脂肪組織の慢性炎症では免疫学的恒常性が破綻していると推定されているが、病態解明が不十分である。最近、自然免疫/自然炎症を担うILCの循環器・血管系疾患における役割の重要性が注目されている。申請者の検討は、肥満・インスリン抵抗性という生活習慣病の基盤病態と動脈硬化という合併症の病態形成との連動を明らかにするうえで重要である。さらにヒト末梢血ILCがヒトの動脈硬化のバイオマーカーとなりうるかについての検討は、病態の理解と臨床応用を直結させる試みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度研究計画である、動脈硬化巣における自然免疫リンパ系細胞(Innate Lymphoid cell, ILC)動態の網羅的解析及び、動物モデルにおける病巣ILCと末梢血ILCの対応付けによる末梢血診断法の開発にむけ、動脈硬化モデルマウス(ApoEノックアウトマウス)の繁殖を行い、特殊試料を給仕、動脈硬化想を採取している。現在は動脈硬化巣からのリンパ系細胞採取の予備実験を実施している。マルチカラーフローサイトメーターFACS CANT2を用いて、ヒトILC3の同定に成功した。平成29年度研究計画である、糖尿病大型コホートを活用したヒト末梢血ILCが動脈硬化評価マーカーとなりうるか、について検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として下記の工夫を実施、継続する。 1.動脈硬化の動物モデルとして広く使用されているApoEノックアウトマウスを用い、免疫細胞の採取組織として動脈硬化巣を十分に採取できるよう工夫する。実際、動脈硬化巣におけるILCは存在比率が低く、組織を十分にとれる体制を整えていることは、本試験実施のために大変重要な工夫となる。さらに、糖尿病発症と動脈硬化の関連も検討するためDb/DbマウスやDb/Db ApoEノックアウトマウスも用いる。 2.マルチカラーフローサイトメーターFACS CANT2、セルソーター SONY SH800を用いる。ILCはその存在を確認するためにフローサイトメーターの活用が必須となる。また、ILCの指摘だけでもLineage, Thy1と2色検出する必要があり、ILC1-3の分類ではSCA1・Nkp46・IL7R・Rorγtの4色、さらにはサイトカイン産生能の違いと少なくとも7重染色の必要があるが、我々はすでに8カラー解析を実施しており、解析の実施に問題はない。また、6カラーセルソートもすでに実施しており、表面染色でのILCのセルソートも行えるよう工夫している。
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