2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19557
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王 麗香 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (20748793)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ミトコンドリアダイナミクス / 炎症制御 / 糖・脂質代謝 / 小胞体ストレス / オートファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア分裂を制御するDynamin-related protein 1 (Drp1) の肝細胞特異的欠損マウス(Drp1LiKO)の解析から、肝臓でのMt分裂の障害が、ERストレスを介してFgf21の産生と分泌を亢進させ、高脂肪食負荷時の全身のインスリン抵抗性を改善させることを明らかにした。これまで、研究を個体レベルの解析から細胞レベル、さらに分子レベルの解析へ進め、Mtダイナミクスの異常が如何にしてERストレス惹起につながるか、そのメカニズムを解明した。 初代培養肝細胞のFluo4を用いたCaイメージングにて、グルコース応答性ERからのカルシウム放出の低下を確認した。また、Rhod2 を用いて、Mt外へのカルシウム流出の変化(減少)も観察できた。ミトコンドリア及びERカルシウムの変動異常はERストレスを惹起したと考えられた。 一方、全身での表現型とは対照的に、肝組織では炎症性マーカーの発現増加、肝細胞死、肝繊維化などの所見を認めた。今回我々は、Mt分裂の炎症機構における役割を明らかにするため、リポポリサッカライド(LPS)を野生型及びDrp1LiKOマウスに腹腔内投与し(In vivo)、また、野生型及びDrp1LiKOマウスの初代培養肝細胞の培養液中に添加し(In vitro)、それぞれ血中及び培養上清中のLPS刺激による炎症性サイトカインの産生を調べた。その結果、Drp1LiKOマウスおよび初代培養肝細胞では炎症性サイトカインの産生が著明に亢進していた。さらにDrp1LiKO肝細胞においてオートファージの低下、活性酸素(ROS)の産生亢進が炎症性サイトカインの産生増加に関与することを明らかにした。すなわち、Mtダイナミクスは、肝臓における糖・脂質代謝と炎症を制御する共通の分子基盤である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、順調に進展している。Drp1LiKOマウスにおいては、オルガネラコミュニケーションの障害による ER ストレス惹起のメカニズムを明らかにした。また、Mtダイナミクスの欠損が炎症発症における役割も解明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、Mtダイナミクスの破綻によるERストレスは肝組織での炎症発症に関与しているかどうかを解明するとともに、Mtダイナミクスの自然免疫における直接な役割を解明する。
|
Causes of Carryover |
本研究に必要な備品を効率的に使用したため残額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に行われる内分泌学会学術総会でポスター発表を行うので、その経費にあてたい。
|