2017 Fiscal Year Annual Research Report
Deciphering the function of KLF4 in myeloid dysplastic syndrome (MDS).
Project/Area Number |
16K19573
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森田 剣 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50757557)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / 急性骨髄性白血病 / 転写因子 / KLF4 / 分化誘導療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)細胞において、転写因子KLF4は過剰に発現するとそれらの細胞を単球系細胞へ分化誘導し抗白血病効果をもたらすが、その詳細な分子機構や、KLF4の発現を効率的に誘導できる臨床医薬品はこれまで報告がない。そこで我々は、細胞分化における転写因子KLF4の分子機構の解明と、その働きを誘導し、MDSやAMLなどの造血器腫瘍細胞を分化誘導できるような新たな薬剤の開発を目的として去年から引き続いて研究を行った。今回我々は、KLF4がニューロンの分化誘導を司るファミリー遺伝子のプロモーター領域に直接結合し、転写を活性化していることを明らかにした。さらに、この転写産物はシャペロンタンパク質に直接結合し、細胞の分化時に必須である細胞骨格タンパク質(アクチンやチュブリン)の産生促進に寄与している可能性が示唆された。また、薬剤ライブラリーを用いたスクリーニングにより、KLF4の転写活性を増強する医薬品を同定した。この医薬品はMDS、AML細胞を効率的に単球系へ分化誘導し、白血病モデルマウスにおいて治療群とコントロール群の治療効果を比較したところ、有意に生存期間を延長した。今回の一連の研究により、KLF4が骨髄系腫瘍において分化誘導を促進する分子機構の一端が明らかになり、KLF4の発現上昇を効果的に誘導する新たな分化誘導治療薬の候補が同定された。今回の一連の研究で得られたこれらの知見は、KLF4の発現を誘導するという機序に基づくMDSやAMLに対する新しい分化誘導療法を試験的に開発し、現行の治療では効果が得られない患者さん方に将来新しい選択肢の可能性を提供するものである。今後、病院・製薬企業等と協調し、将来の臨床応用を目指した治験について計画中である。
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Research Products
(1 results)