2016 Fiscal Year Research-status Report
化学療法抵抗性白血病を治癒に導く新規細胞免疫療法の開発研究
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16K19577
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
朝井 洋晶 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (00726838)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞免疫療法 / WT1 / PD-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
白血病特異的細胞傷害性T細胞(CTL)クローン由来T細胞レセプター(TCR)遺伝子を用いた新たな遺伝子改変T細胞療法の開発目的で研究を遂行し、下記の結果が得られた。 我々がすでに樹立したWT1特異的HLA-A24拘束性CTL クローンからTCR遺伝子を単離し、その発現ベクターをタカラバイオ株式会社との共同研究によって構築した。本レトロウイルスベクターは内在性TCR発現を抑制しする新規ベクターである。末梢血T細胞に遺伝子導入したところ、白血病腫瘍抗原特異的TCR発現T細胞(WT1-TCR-T細胞)は元のCTLクローン同様、HLA-A24拘束性に白血病細胞を殺傷することがin vitro実験系で確認された。さらに、ヒト白血病細胞移植ヒト化マウスの実験系を用いて検討したところ、WT1-TCR-T細胞を養子免疫することによって、ヒト白血病細胞の増殖を著明に抑制した。 白血病細胞では、PD-L1分子を発現していない細胞も存在したが、それらの白血病細胞においてもIFN-γ存在下で培養することでPD-L1分子が発現することが確認できた。 また白血病特異的T細胞レセプターを遺伝子導入した細胞障害性T細胞(WT1-TCR-T細胞)では、活性化とともにPD-1の発現が亢進することが確認された。これら腫瘍細胞側のPD-L1分子の発現ならびに、免疫細胞側のPD-1分子の発現は、ともに腫瘍局所での細胞免疫療法効果減弱の一員となっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、WT1特異的HLA-A24拘束性遺伝子発現レトロウイルスベクターを構築し、ヒト末梢血T細胞に遺伝子導入できた。また、WT1-TCR-T細胞がWT1特異的HLA拘束性に白血病細胞を殺傷することが証明できた。 白血病細胞や白血病特異的TCR発現T細胞におけるPD1,PD-L1の発現解析も行えた。 これらの結果から、当初の目標をほぼ達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって、白血病特異的TCR遺伝子をヒト末梢血T細胞に遺伝子導入することによって、白血病特異的CTLを容易に作製できることが証明できた。来年度は臨床応用に向けて、抗PD-1抗体をもちいた実験を追加しその効果を検証する。さらに、抗腫瘍効果をin vivo実験系で詳細に検討する計画である。 また、WT1特異的TCRをヒト造血幹細胞に遺伝子導入し、HLA-A24トランスジェニック免疫不全NSGマウスに移植して、WT1特異的HLA-A24拘束性CTLがマウス体内で分化増殖することを確認し、様々ながんに対する抗腫瘍効果をヒト化マウスのin vivo実験系で検証する計画である。
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Causes of Carryover |
現在の達成度は記載のとおり、今年度は白血病細胞、HLA-A24拘束性WT1特異的T細胞受容体T細胞をもちいたin vitroでの解析が中心であったため予定より物品購入が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、WT1特異的TCRをヒト造血幹細胞に遺伝子導入し、HLA-A24トランスジェニック免疫不全NSGマウスに移植して、WT1特異的HLA-A24拘束性CTLがマウス体内で分化増殖することを確認し、様々ながんに対する抗腫瘍効果をヒト化マウスのin vivo実験系で検証するために予算を使用する計画である。
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