2016 Fiscal Year Research-status Report
巨核球・血小板系造血の分化機構の解明(lncRNAに注目して)
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16K19578
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮脇 恒太 九州大学, 大学病院, 助教 (50774709)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 巨核球系前駆細胞 / long non-coding RNA / 転写因子 / 造血幹細胞 / 分化機構 / 骨髄増殖性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
血小板の凝固メカニズムや巨核球から血小板が産生されるメカニズムについては多くの知見が蓄積されているのに対し、造血幹細胞から巨核球・血小板系の分化については不明な点が多い。近年、造血システムの最上流において既に巨核球系分化を運命づけられた細胞が存在する、という示唆が複数の論文で報告されたことを背景に、我々はヒト造血幹前駆細胞分画内に存在する新規巨核球系前駆細胞(MegP)を新たに同定し、これを報告した(Miyawaki et al., Blood 2017)。 この細胞集団における網羅的トランスクリプトーム解析から、MegP特異的に発現を認めるlong non-coding RNA (lncRNA)を複数個同定した。これらのlncRNAがMegPにおいて高発現していることを定量的リアルタイムPCR法で確認した上で、ノックダウンによってMegPにどのような影響がもたらすかを解析中である。 また、MegPの造血器疾患における意義を検討するために、 慢性骨髄性白血病(CML)18症例、真性多血症(PV)6症例、本態性血小板増多症(ET)17症例の骨髄を解析したところ、CML及びETにおいて、MegPの増大が認められた。更に、CMLにおいてはMegPの頻度が予後スコアであるSokal scoreを高い相関を示すことから、予後不良化のメカニズムに寄与している可能性が示唆された。また、ETのドライバー変異であるJAK2遺伝子変異の頻度を各細胞分画で解析したところ、造血幹細胞からMegPにかけてアリル頻度が著明に高くなることが判明し、ETにおいてもMegPがその病態形成に寄与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究において、MegPの正常造血、及び造血器腫瘍における意義を明らかにし、論文化をした。平成28年度の計画にあった項目のうち、MegP特異的な発現を認めるlncRNAのノックダウンによる影響については現時点で解析が完了していないので、これを速やかに完遂する。また、その他の血小板造血に異常を来す疾患における MegP の病的意義については、十分な症例数が解析できていないため、検体収集方法を工夫し、症例の蓄積を図る。その他の計画は概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況を踏まえ、予定通り平成29年度の計画内容に従い、研究を進める。今年度は、造血幹細胞から巨核球系統へと分化が進む分子機構を明らかにする実験を予定している。ヒト骨髄中に僅かしか存在しない造血幹細胞やMegPを対象とする上、RIP-sequence等、施行実績のない実験系も含まれることから、技術的な障壁にぶつかることが予想される。既に、同実験系の経験者に助言を仰ぐなどしているが、今後も幅広い情報ソースを活用し、まずはいち早く実験系を確立することを目指す。今年度から教室に次世代シークエンサー解析を専門とする研究者が加わったこと、新規次世代シークエンサーが導入されることもポジティブな要因として働くものと期待している。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Identification of unipotent megakaryocyte progenitors in human hematopoiesis2017
Author(s)
Kohta Miyawaki, Hiromi Iwasaki, Takashi Jiromaru, Hirotake Kusumoto, Ayano Yurino, Takeshi Sugio, Yasufumi Uehara, Jun Odawara, Shinya Daitoku, Yuya Kunisaki, Yasuo Mori, Yojiro Arinobu, Hirofumi Tsuzuki, Yoshikane Kikushige, Tadafumi Iino, Koji Kato, Katsuto Takenaka, Toshihiro Miyamoto, Takahiro Maeda, Koichi Akashi
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Journal Title
Blood
Volume: 129
Pages: 3332-3343
DOI
Peer Reviewed