2016 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫におけるGas6のオートクライン・パラクライン機構の解明
Project/Area Number |
16K19583
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
古川 未希 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (80722537)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / IL-6 / Gas6 / ICAM-1 / 骨髄間質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫(MM)患者の骨髄サンプルを用いたDNAマイクロアレイ法を行い、CD138陽性MM細胞でGas6高発現を見出した。MM患者の血清Gas6濃度をELISA法にて検討し、健常人に比べMM患者の血清Gas6濃度は高値であった。MM細胞株RPMI-8226及びAMO-1においt、Gas6発現をフローサイトメトリー法で検討し、MM細胞株もまたGas6を高発現した。MM細胞の病態・進展には骨髄微少環境が重要である。そこで、ヒト培養骨髄間質細胞株HS-5のGas6発現、細胞増殖に関与するサイカインIL-6発現をELISA法で検討し、HS-5はGas6及びIL-6を有意に分泌することがわかった。次に、MM細胞のアポトーシス及び細胞増殖におけるGas6の役割を検討した。MM細胞株にGas6及びHS-5培養上清を添加したところ、MM細胞株のアポトーシス抑制と細胞増殖が誘導された。抗Gas6中和抗体はそれらの反応を抑制した.さらに、抗Gas6中和抗体はGas6及び HS-5培養上清によって誘導されるERK活性、Aktリン酸化、NF-κBリン酸化を抑制した。これらの結果はGas6がオートクライン/パラクライン機構を介したMMの病態に重要な役割を演ずることを示した。次に、Gas6受容体TAMファミリーMer,AxL,Tyro3のいずれの受容体がGas6の関連するシグナル伝達に重要な受容体であるかを検討した。DNAマイクロアレイ法ではMM患者の骨髄腫細胞が Merが高発現していた。 Mer siRNAはMM細胞におけるGas6及びHS-5培養上清が誘導するアポトーシス抑制及び細胞増殖を抑えた。これらの結果はGas6/Mer/ERK経路、Gas6/Mer/Akt/ NF-κB経路がMMの病態の重要なメカニズムであることを明らかにした。本研究はMMの病態においてGas6が寄与する オークライン/パラクライン機構の重要性を明らかにした。さらに、Gas6/Merシグナル伝達経路がMMの新たな治療ターゲットとなる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)第77回 日本血液学会学術集会 (2015.10.16-10.18, 金沢)臨床血液, 56 (9), 442, 2015. 2)57th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition (2015.12.5-12.8, Orlando, USA). 3) 第78回 日本血液学会学術集会 (2016.10.13-10.15, 横浜) 臨床血液, 57 (9), 1445, 2016.本研究内容は上記の3つの学術集会で報告され、2017年3月にJournal of Biological Chemistryに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄腫マウスモデルを用いた抗Gas6中和抗体静脈内投与の効果の検討する。 NOD-scid免疫不全マウスに骨髄腫細胞株を皮下移植したマウスモデルを作成する。骨髄腫マウスの骨髄および血清のGas6とICAM-1、IL-6の発現をコントロール群と比較検討する。Gas6 siRNAを導入した骨髄腫細胞株の移植マウスの腫瘍縮小効果および生存率、骨髄および血清のGas6、ICAM-1、IL-6の発現をコントロール群と比較検討する。骨髄腫マウスに抗Gas6中和抗体、抗ICAM-1中和抗体静脈内投与の効果(生存率、腫瘍縮小効果、Gas6、ICAM-1、IL-6の発現)をコントロール群と比較検討する。
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[Journal Article] Autocrine and Paracrine Interactions between Multiple Myeloma Cells and Bone Marrow Stromal Cells by Growth Arrest-specific Gene 6 Cross-talk with Interleukin-6.2017
Author(s)
Furukawa M, Ohkawara H, Ogawa K, Ikeda K, Ueda K, Shichishima-Nakamura A, Ito E, Imai JI, Yanagisawa Y, Honma R, Watanabe S, Waguri S, Ikezoe T, Takeishi Y.
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 292(10)
Pages: 4280-4292.
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Autocrine and paracrine interactions by Gas 6 signaling pathways via IL-6 between MM cells and BMSCs.2016
Author(s)
Miki Furukawa, Hiroshi Ohkawara, Kazuhiko Ikeda, Koki Ueda, Akiko Shichishima-Nakamura, Emi Ito, Jun-ichi Imai, Yuka Yanagisawa, Reiko Honma, Shinya Watanabe, Satoshi Waguri, Kazuei Ogawa, Yasuchika Takeishi.
Organizer
第78回日本血液学会学術集会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2016-10-13 – 2016-10-15