2016 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性メモリーT細胞の選択的除去による新規アレルギー治療概念の創出
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16K19598
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
池田 貴英 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30444326)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー疾患の再燃には抗原特異異的メモリー細胞(病原性メモリー細胞)が主体となる免疫記憶機構が関与しているが、その細胞の除去が根本的治療療となりうるがその方法は未だに見出されていない。Notchシグナル阻害によるアレルギーの治療を想起した。 BALB/cマウスを卵白アルブミン(OVA)で感作し、1ヶ月後Notchシグナル阻害剤(GSI)を5日間投与し、OVA経口投与を行い、アレルギー反応を誘発した。予備実験では、対照群と比較し、GSI投与では食物アレルギーのアナフィラキシーによる死亡が抑制された。対照群、GSI群での下痢や体温の変化を確認し、下痢の出現、体温低下を認めた。対照群と比較し、GSI群での有意な体温低下は認めなかった。GSIの効果が少ない可能性を考え、GSI投与期間を7日間に延長したが、下痢、体温低下に関しては対照群とGSI群で有意な差を認めなかった。よりメモリー相に近づけるため、感作期間を2、3ヶ月に延長し、同じ実験を行い、発症時期が対照群と比較し、GSI群で遅くなるとの結果を得た。Notch シグナルの阻害によるアレルギー疾患に関連した病原性メモリーT 細胞を除去することによりアレルギーの根治が可能になる可能性がある結果であった。対照群とGSIの発症時期の検討のため、経口OVA30mg/dlから20mg/dlに減量して同様の実験を行っている。また、OVA感作1ヶ月後、マウスから脾臓、腸間膜リンパ節からリンパ球を採取し、OVAで72時間刺激培養し、対照群、GSIともにIL-4の産生を認め、感作を確認した。対照群と比較し、GSI群でIL-4の抑制を認めなかった。GSI群の発症抑制にIL-4の産生の関与は少ないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験では、対照群と比較し、GSI投与では食物アレルギーのアナフィラキシーによる死亡が抑制されていたが、対照群、GSI群での下痢や体温の変化で一定の結果を得られず、実験の方法を変更しながら行っていたため、実験の進展が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Notchシグナルの阻害によるアレルギー再燃抑制の効果を確立するために、これまで施行しているメモリー相を感作後6ヶ月での施行、GSI群で発症時期を遅らせる結果を確実にするためにOVA経口濃度を増減して投与、また、より実際に即した効果を確認するため、一度アレルギー症状を誘導した後、メモリー相を設定し、その際にGSIを投与する。その後のアレルギー再燃への効果を検証する。 Notch阻害剤によりアレルゲン特異的CD4T細胞の消失を想定している。モデルアレルゲンとして用いるOVAに特異的なT細胞受容体遺伝子トランスジェニックマウス(DO11.10マウス)由来のCD4T細胞をBALB/cマウスに移入し、感作→阻害剤→誘導の各ポイントで移入した細胞をフローサイトメトリー法により解析する。OVAペプチドとI-AdからなるMHCクラスⅡテトラマーを用いて内在性のポリクロナールなOVA特異的CD4T細胞の動態について解析する。アレルゲン特異的CD4T細胞の消失が確認できない場合には、T細胞の質的変化を想定しサイトカイン産生について検証する。血清中OVA特異的IgE抗体価の推移とメモリーB細胞の動態をみるために、GSI投与がアレルゲン特異的IgE産生に与える影響について抗体価や産生細胞を指標に解析する。
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Causes of Carryover |
実験結果がまだ十分にそろっておらず、国内、海外での学会発表は行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物、飼育費として、主にBALB/cマウスを使用する、各実験で20匹のマウスを使用する予定である。したがってマウス購入費は1.5千円/匹×20匹=30千円必要である。この実験5回分と、抗体とELISA用試薬として、IL-4などのサイトカインやアレルゲン特異的IgEなど特異抗体の測定で使用するELISA試薬などを購入する。
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