2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19624
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 奈生 東北大学, 大学病院, 助教 (30771670)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 尿中落下細胞 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度課題:1.(1)各種腎疾患(慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、アルポート症候群)の患者尿から尿中落下細胞を分離培養する。1.(2)尿中落下細胞から細胞表面マーカーにより尿幹細胞を同定・分離する。 2017年度課題:2.(1)尿幹細胞の間葉系幹細胞としての性質を確認する。2.(2)単離された尿幹細胞が間葉系幹細胞としての性質を備えるか、すなわち自律的な分化あるいは分解誘導に従って、骨、軟骨、脂肪などの間葉系組織への分化能があるかを確認する。3.尿幹細胞の腎組織内での局在の検討分離された尿幹細胞からマーカーとして適当な抗原を決定し、患者腎組織での局在を検討する。4.再生医療に関連した尿幹細胞の特性を検討する。多能性、分泌する液性因子の検索、分化誘導に応じて再び腎臓構成細胞へ分化しうるかについて検証する。 2016年度は主勤務施設が主研究施設ではなかったため、試薬や抗体、primerの準備にとどまった。2017年度は紫斑病性腎炎、二次性巣状分節性糸球体硬化症、頻回再発型ネフローゼ症候群、薬剤性腎障害の患者から尿検体を採取し、尿中落下細胞の培養を行った。巣状分節性糸球体硬化症、頻回再発型ネフローゼ症候群の尿からは尿中落下細胞が生えず、紫斑病性腎炎、薬剤性腎障害の患者尿からは細胞が得られた。これは腎炎性の患者から尿中落下細胞が得られるという既存データと一致する結果であった。紫斑病性腎炎、薬剤性腎障害から得られた尿中落下細胞を各種幹細胞マーカーと間葉系、血球系のマーカーで二重染色してFACSにかけ、間葉系幹細胞の同定を試みたが、細胞の状態が不良であり、確たるデータが得られなかった。その後、培養環境と実験手法を再考し、再度IgA腎症の患者から尿検体を採取し培養を再開した。研究に大幅に遅れが出ているため、研究期間の延長を申請した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2016年度は主勤務地が主研究施設ではなかったため、抗体や試薬の準備に留まった。2017年度に実際に細胞の培養、幹細胞の分離実験に着手したが、細胞の状態が悪かったこと、一回の分離実験の作業工程を過剰にしてしまったため、データが得られなかった。培養手技、分離実験の作業工程の見直しを行う必要があり、大幅に研究の進捗に遅れが出た。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養については継代時期や継代数をより適正化することにより、細胞の状態を改善する。 幹細胞のFACSによる分離については、主研究者の手技の劣化と一回の実験で多種の抗体による染め分けを試みたため、作業行程が複雑化したことが失敗の原因であったと考えられる。主研究者の手技の見直しと訓練を行う。また、幹細胞の単離に当たっては、幹細胞マーカーによる単離と細胞の系統による単離の2行程に分けて、作業の単純化を図る。 目的とする幹細胞を単離した後は、当初の計画に従い、分化能の確認、幹細胞マーカーの腎生検標本内での局在の確認、幹細胞の分泌能や腎系統細胞への分化実験を行う。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れ、データの発表に関連する支出がなかったため。また研究の進捗が遅れているため、次年度に持ち越しになった実験があるため。
|