2016 Fiscal Year Research-status Report
Escobar症候群の分子病態解明とGFPT1先天性筋無力症候群の治療法開発研究
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16K19639
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 智彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40773065)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Escobar症候群 / 先天性筋無力症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Escobar症候群の原因遺伝子CHRNGの日本で同定したミスセンス変異p.P121Rの機能解析の一部をおこなった。p.P121Rを導入したアセチルコリンレセプターの培養細胞表面上への発現の有無を確認する実験をおこなった。変異アセチルコリンレセプターの発現は認めたが、フローサイトメーターを用いてカウントしたところ野生型の60%程度の発現量だった。CHRNEはアセチルコリンレセプターサブユニットの一つであり、胎児期にはCHRNGが発現しているが生後はCHRNEが発現をする。CHNREは先天性筋無力症候群の原因遺伝子のひとつであり、CHRNEのp.P121L変異とp.P121T変異はレセプターの開口時間が異常短縮する先天性筋無力症候群の一型であるファーストチャネル症候群を惹き起こす。これらCHNREの変異は細胞表面へのレセプター発現を阻害しないことが示されており、CHRNGp.P121R変異も細胞表面に発現することは予想していたが今回の実験では発現量の減少がみられた。再現性の確認中である。 2.CHRNG変異を原因とするEscobar症候群は日本においていまだ十分に認識されていないと思われ、日本における新規症例の発掘をおこなっている。先天性多発関節拘縮症を診察あるいは手術する機会のある新生児科医、整形外科医から数例の紹介を受けCHRNG変異の遺伝子解析をおこなった。1例においてCHRNG変異を同定し、先の変異と同部位であるp.P121R変異が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
CHRNG変異の発現実験において、細胞表面への発現は確認されたが発現量の減少を認めたため、より多くの実験回数で再現性の確認が必要となり現在進行中である。 研究計画時に想定したよりも研究代表者のエフォートが低下する時期があり、細胞実験の進行の遅れにつながった。本研究のエフォートの低下は診療および教育のエフォートの増加による。 また、CHRNG変異によるEscobar症候群の新規患者の発掘に力をいれたが、今のところ遠位型の関節拘縮を示す患者は多いが、CHRNG変異によるEscobar症候群の患者数は当初の姉弟例の他1例にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
低下したエフォートについては教育活動のエフォートの増加は変更できないが、診療のエフォートを抑えることである程度の回復がえられると考えている。 CHRNG変異の発現実験については、手法は確立しているために繰り返しておこなっていく。イオンチャネル動態の解析については予定通りに研究協力者の協力を得て進めていく。 上記が終了したのちに、GFPT1-iPSC由来筋管を用いた実験を進める予定である。 Escobar症候群の日本における新規症例の発掘は継続しておこなっていく予定である。
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Causes of Carryover |
発現実験の結果から同実験を繰り返す必要が生じたため28年度中の新しい試薬の購入が減ったこと、エフォートが一時的に低下したため研究の進捗が遅れたこと、新規症例が今のところ少ないことが理由と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度の研究は28年度未実施分に続けて施行をしていく予定であり、当初計上した研究費が必要となると考えられる。
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Research Products
(1 results)