2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K19645
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
美根 潤 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (80565234)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 疫学調査 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)驚愕病の疫学調査 全国の医療機関1394施設一次調査を行った。回収率は59%であり、うち症例の経験を有する施設は25施設(3.0%)であった。経験を有する施設へ二次調査を送付し、臨床像(家族歴、診断年齢、周産期歴、症状、その症状の発症年齢および消失時期、他覚所見、各種検査および画像所見、診断に至るまでの鑑別した疾患、治療およびその治療効果、リハビリテーション、遺伝子カウンセリングの有無、予後、現在の問題点など)についてアンケートをおこなった。18施設(72%)より回答があった。うち17症例は小児科領域であり、4症例は成人領域であった。小児領域の約半数は遺伝子検査で確定されていたが、成人領域では遺伝子検査で確定された例はなかった。 2)驚愕病が疑われる症例について、全国から検体の提供を受け、本人あるいは家族の同意を得た後、グリシン作動性神経伝達系に関連する遺伝子(GLRA1,SLC6A5,GLRB)の解析をPCR法、SSCP法および直接塩基配列決定法などを用いて検索した。遺伝子変異も遺伝子量の異常も認めない症例に関しては、グリシン作動性神経伝達系に関与する他の遺伝子(SLC32A, SLC6A17など)について上記と同じ方法で検索を行った。平成30年度は 10症例の解析を行い、うち4例(GLRA1遺伝子変異)でグリシン作動性神経伝達系に関連する遺伝子異常を認めた。 3)疾患特異的iPS細胞の樹立については、我々の施設では正常健康人の線維芽細胞からiPS細胞を樹立し、神経細胞への分化が可能となっている。現在は正常健 康人の血液検体のリンパ球からiPS樹立、神経細胞への分化を試みている。神経細胞への分化が確立すれば、患者検体から疾患特異的iPS細胞の樹立を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は計画の予定通り診断基準案を作成した。結果については第121回日本小児科学会で発表した。各関連学会より、パブリックコメントを受け付け、回答待ちである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)驚愕病の疫学調査および臨床像の検討 平成31年度は、関連学会のパブリックコメントの回答を待ち、診断基準を確定する。 2)グリシン作動性神経伝達系に関連する遺伝子異常の解析 驚愕病と診断されたあるいは疑わしい症例について引き続き遺伝子解析を行う。上記1)のデータと比較し、遺伝子型と表現型との関連を検討する。 3)疾患特異的iPS細胞の樹立 疾患特異的iPS細胞の樹立及び神経細胞への分化を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
既に遺伝子解析等の研究設備は整っているため、設備等の費用が抑制できた結果、当該助成金が生じた。 来年度は、遺伝子解析材料費の他、診断基準パンフレット作製などの資金に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)