2016 Fiscal Year Research-status Report
高IgE症候群モデルマウスを用いたアトピー性皮膚炎重症化メカニズムの解明
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16K19649
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
和田 剛 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 特任助教 (80583418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高IgE症候群 / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
高IgE症候群は、1.新生児期から発症する重症性アトピー性皮膚炎、2.黄色ブドウ球菌を中心とする細胞外寄生細菌による皮膚膿瘍と肺炎、3.血清IgEの高値を3主徴とする先天性免疫不全症である。その原因ならびに病気の発症メカニズムについて全くわかっていなかったが、当研究室により、高IgE症候群の主要原因遺伝子が明らかとなった。しかし、これらの遺伝子の異常がどのようなメカニズムで、高IgE症候群の患者においてアトピー性皮膚炎を重症化させるかは明らかではない。そこで当研究室で樹立した高IgE症候群モデルマウスを用いて、アトピー性皮膚炎重症化の病態メカニズムの解明を試みた。具体的には、アトピー性皮膚炎モデル実験系として確立されているOxazolone反復塗布皮膚炎(マウスをハプテンであるOxazoloneで感作した後、2日に1回の割合でOxazoloneを反復塗布することで起きる、アトピー性皮膚炎様の慢性炎症)を惹起し、皮膚炎惹起後の皮膚を経時的に採取し、皮膚厚の測定、免疫染色法などを用いた病理組織学的検索、ウエスタンブロット法による蛋白発現解析、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析、ELISA法を用いたサイトカイン含有量測定、フローサイトメーターを用いた浸潤細胞集団の解析を行った。その結果、高IgE症候群モデルマウスではアトピー性皮膚炎が惹起されると、野生型マウスと比較して、皮膚炎惹起部位の皮膚の肥厚ならびに浸潤細胞数の増加など免疫系の異常反応によるアトピー性皮膚炎の重症化が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高IgE症候群モデルマウスにアトピー性皮膚炎を誘導したところ、高IgE症候群患者でみられるようにアトピー性皮膚炎の重症化が認められた。野生型マウスと比較し、皮膚炎惹起部位での浸潤細胞と発現因子に違いが見られたことから、これらをもとにアトピー性皮膚炎の重症化に関わる因子の候補を絞ることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度より実施の実験に加えて、アトピー性皮膚炎重症化に関与しているとされる痒みによる掻破行動についての解析を行う。痒みによる掻破行動を評価するために、Oxazolone塗布後、マウスが後脚を用いて皮膚炎部位を掻いた頻度を経時的に計測し、痒みに関わるメディエーターの発現量をELISA等で測定、マウスが皮膚炎惹起部位を掻けないように処置を施すと、皮膚炎重症化の病態に変化が現れるのか等の解析を行い、明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
3月に納品となり、支払いが完了していないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月に支払いが完了する予定である。
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