2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of POLD1 gene function that causes lipoatrophic diabetes mellitus
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16K19650
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大久保 一宏 九州大学, 大学病院, 助教 (60737576)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SHORT症候群の迅速診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪萎縮性糖尿病は脂肪萎縮によりレプチンが欠乏し、インスリン抵抗性により発症する。また、先天性脂肪萎縮症の頻度は数百万人に1人とされ、複数の原因遺伝子が報告されている。近年ではこれまでに知られていたAGPAT、BSCL2、CAV1、POLD1の他にもいくつかの原因遺伝子が知られるようになってきている。 今回、我々は本研究を通じて、網羅的遺伝子解析により、脂肪萎縮性糖尿病に先天性難聴を合併した症例に対し、PIK3R1遺伝子に未報告のフレームシフトを伴う33塩基の挿入変異(新生突然変異)を見いだした。PIK3R1遺伝子は低身長、関節過伸展または鼠径ヘルニア、眼球陥没、Rieger 奇形、および歯牙萌出遅延を5主徴とするSHORT症候群の原因遺伝子として知られるが、本症例では眼球陥没以外の主徴がなかったことから診断に難渋した。PIK3R1遺伝子は脂肪萎縮性糖尿病の原因遺伝子としては広く知られてはおらず、原因不明の脂肪萎縮性糖尿病の原因の一つとしてPIK3R1遺伝子によるSHORT症候群は鑑別すべき疾患であることが判明した。 また、本研究では、SHORT症候群症例のリンパ球を用いてのインスリンシグナル異常を同定できた。リンパ球を用いることで診断可能なことを示したことで、SHORT症候群が簡便かつ迅速に診断可能となる可能性が示唆されたことは意義深いものと考える。 今後は、より多数の症例を集積し、解析することで、SHORT症候群の迅速診断法の確立を目指していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)