2016 Fiscal Year Research-status Report
川崎病血管炎におけるスタチン製剤の役割と新たな治療薬としての可能性の検討
Project/Area Number |
16K19657
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上野 健太郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (20644892)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 川崎病 / 血管炎 / ネクローシス / 細胞生存シグナル / スタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】川崎病血管炎 in vitroモデルでのスタチン製剤の細胞障害抑制効果、細胞生存に関与するシグナル伝達物質の機序を解明し、新たな治療戦略の一つとしての有用性を示す。【方法】川崎病患児血清で刺激した正常ヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC)を用いて急性期の細胞死(necrosis/apoptosis)、生細胞、細胞生存シグナル(Akt)/細胞増殖シグナル(ERK)を評価し、自然免疫機構の受容体発現について解析する。対象は川崎病患児12例。HCAECに7.5%患者血清を用いて24時間刺激を行い、スタチン製剤であるアトルバスタチン(At)を非介入群、At 1μM、At 5μM、At 10μM 投与群の4群に分類した。Necrosis/apoptosisの評価、Akt/ERK定量評価し、蛍光免疫染色での細胞形態評価を行った。【結果】急性期内皮細胞ではnecrosis優位の細胞死を起こし、Atは濃度依存性にnecrosisを抑制した(p=0.023)。Akt/ERKは、リン酸化Akt/ERKが増加し、At投与でAkt/ERKのリン酸化は抑制された(各々p<0.01)。蛍光免疫染色ではAt 5μM投与で 内皮細胞の necrosisは抑制され、apoptosisが誘導されることが判明した。【考案】川崎病 in vitroモデルにおける急性期内皮細胞はnecrosis優位の細胞死を起こし、スタチンは濃度依存性に necrosisを抑制、Akt/ERKのリン酸化を抑制し、apoptosisを誘導することがわかった。以上より川崎病in vitroモデルにおけるスタチンの作用機序の一つとして、急性期の内皮細胞障害を抑制し、内皮細胞増殖を抑制することで細胞の恒常性の維持に働いている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に予想される結果に沿った実験結果を示しており、in vivoでも予想されている急性期の内皮細胞の変化を確認することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、再現性があるか確認をしており同様の結果が得られつつある。さらに免疫グロブリントとの相乗効果を評価する。得られた実験結果を基に、血清提供を受けた川崎病患児の臨床経過、検査結果、冠動脈後遺症との関連性を検討することで、本研究での基礎研究と実臨床での整合性を評価する。川崎病in vitroモデルでのスタチン製剤の作用機序を明らかにし、in vivoでの臨床応用への発展性に繋げたい。
|
Causes of Carryover |
国際学会での発表に行く予定であったが、諸事情により行くことができなかったため、旅費は使用しなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年のAHA 2017 アメリカ アナハイムで開催される米国心臓病学会に応募、発表する予定。
|
Remarks |
http://ris.kuas.kagoshima-u.ac.jp/html/100005690_ja.html?k=%E4%B8%8A%E9%87%8E+%E5%81%A5%E5%A4%AA%E9%83%8E#item_kaknh_bnrui_2
|