2016 Fiscal Year Research-status Report
ケモカインCCL8欠損による移植片対宿主病の抑制作用とその機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16K19658
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
五十嵐 敬太 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70580017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | GVHD / CCL8 / 造血細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドナーとしてBALB/c マウス(H-2d,I-Ad)、レシピエントとしてC57BL/6(B6)マウス(H-2b,I-Ab)を使用し、レシピエントマウスにドナーマウスの骨髄細胞と脾臓細胞を移植することで致死的急性GVHD を誘導した。 ドナーがBALB/c 野生型(WT)マウスでレシピエントがB6-CCL8ノックアウト(CCL8KO) マウスの移植群とドナーがBALB/c-WT マウスでレシピエントがB6-WTマウスの移植群のアウトカムを比較した。移植後5日目にフローサイトメトリーにて各移植群マウス脾臓細胞におけるCD4及びCD8陽性ドナーT細胞数・割合を比較した。結果、それぞれの移植群においてCD4陽性及びCD8陽性T細胞数は、両者ともsyngeneic移植の対照群より著明に増加し、有意差がなくほぼ同等の結果であった。同時に採取した血漿中のTh1細胞活性化に関わる炎症誘導性サイトカインであるIFNγや組織障害に直接関わるTNFαを測定した結果、いずれもsyngeneic移植の対照群より著明に増加し、両者で有意差を認めなかった。TNFαはむしろレシピエントCCL8KO群でより増加傾向であった。CCL8欠損によってもCD4及びCD8陽性細胞増加やIFNγ・TNFα増加が保持されることから、CCL8は急性GVHDの病態においてeffector phaseにおいて作用し、GVL/GVT効果を温存できる可能性が示された。 また、ドナーがBALB/c-CCL8KO マウスでレシピエントがB6-CCL8KO マウスの移植群とBALB/c-WT→B6-WTの移植群の生存を比較した。結果、両群ともに移植後早期に死亡がみられ、生存曲線に有意差がみられなかった。移植後早期の生存にドナーあるいはレシピエント細胞のいずれかにおいてCCL8発現が必要な可能性もあり、詳細な解析を計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ドナー・レシピエントともにCCL8ノックアウトのマウス移植群では、生存を含めた移植アウトカムのさらなる改善が期待されていたが、実際の実験結果、両者CCL8ノックアウトの移植群は、両者野生型の移植群と比較し生存の改善を認めなかった。 そのため、ドナ-・レシピエントにおけるCCL8発現の有無における移植後の病態解析をさらに詳細に行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ドナーのみCCL8欠損の移植群、レシピエントのみCCL8欠損の移植群、両者CCL8欠損の移植群を、両者野生型の移植群と生存、T細胞、サイトカイン、肝機能、Clinical score、病理所見等を詳細に比較解析する予定である。 その結果を踏まえ、抗CCL8モノクローナル抗体の投与やリコンビナントCCL8投与の時期や期間を検討し、野生型同士及びドナーあるいはレシピエントCCL8ノックアウトマウスの移植群における、その移植アウトカムを解析する。
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