2016 Fiscal Year Research-status Report
神経発達障害の病態形成における選択的polyA付加反応の意義
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16K19659
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
宗宮 仁美 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (20548713)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達障害 / 情動制御 / 選択的polyA付加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は以下の項目について明らかにした。 1.選択的poly A付加反応に関わるタンパク質X ヘテロ接合型マウスの行動解析: Open field テストでは、中央への侵入回数及び時間、立ち上がり回数、行動量の測定した項目すべてで野生型とヘテロ接合型マウスに有意な差は認められなかった。社会性相互作用試験では、Open field 装置内の対角となる2隅に網篭を設置し、一方の網篭に披見マウスと同性同週齢かつ初対面の野生型マウス(プローブマウス)をいれた。もう一方には何もいれず、どちらの網篭への嗜好性があるのかを検討した。通常マウスは初対面のマウスに興味を示し、プローブマウスの入っている網篭に対する接触時間が長くなる。野生型マウスは、プローブマウスが入っている網篭への接触時間が何も入っていない網篭に対する時間よりも有意に長かった。一方、ヘテロ接合型マウスはこの嗜好性が認められなかった。このことから、タンパク質Xヘテロ接合型マウスでは、社会性の低下が生じていることを明らかにした。 2.心理的ストレス負荷時の情動制御反応:タンパク質X ヘテロ接合型マウス及び野生型マウスに心理的なストレスとして高所ストレスを30分間負荷し、脳内での神経活動最初期遺伝子c-Fosの発現変化を組織化学的に解析した。その結果、ヘテロ接合型マウスでは、野生型マウスに比して前頭皮質においてストレスに応答したc-Fos陽性細胞数が低下している結果が得られた。現在、例数を増やして詳細に検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、選択的poly A付加反応を制御するタンパク質Xの遺伝子改変動物の行動解析及びその神経活動変化、脳内遺伝子発現変化を明らかにすることを目的としている。平成28年度は、タンパク質Xヘテロ接合型マウスの行動解析がほぼ終了した。しかし、動物の繁殖に時間がかかり、心理的ストレス負荷時の組織解析が終了できず、予定していた脳内の遺伝子発現解析までは到達できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、心理的ストレス負荷時の脳内神経活動の変化の解析を継続するとともに、タンパク質Xヘテロ接合型と野生型マウスの遺伝子発現変化をRNA-seqにて網羅的に解析する。また差別的に発現する遺伝子のうち3’UTRの長さの変化を伴う遺伝子を標的候補遺伝子として、高所ストレス負荷時における発現変化を検討し、標的遺伝子を絞りこむ。また、同定した遺伝子についてタンパク質X過剰発現PC12細胞を用いて、神経分化や機能成熟に及ぼす影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
動物の繁殖に時間がかかり、予定していたタンパク質X遺伝子改変動物の脳内遺伝子発現変化の網羅的解析をおこなうことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度実施予定であったタンパク質X遺伝子改変動物の脳内での遺伝子発現変化をRNAseqにより解析する予定である。
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