2016 Fiscal Year Research-status Report
流体力学を用いた成人先天性心疾患術後血行動態の解明:心臓MRIと分子生物学的検証
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16K19665
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
北川 篤史 北里大学, 医学部, 助教 (60648757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心臓MRI / エネルギー損失 / 先天性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:近年における心臓血管外科治療および内科的治療の進歩により、先天性心疾患の生命予後は大きく改善した。しかし、成人となった先天性心疾患術後遠隔期には、様々な合併症や続発症が起こることが大きな問題となっている。先天性心疾患術後における合併症は、その血行動態が非常に複雑であるため、その診断と治療が極めて困難であった。本研究の目的は、心臓MRIを用いて先天性心疾患術後遠隔期の血行動態をエネルギー損失という概念を用いて解明することである。 研究実施計画:平成28年度においてまず対象となる症例の選定を行った。具体的には、ファロー四徴症、両大血管右室起始症、また単心室循環であるフォンタン術後の症例を対象とした。倫理委員会の承認を受けた研究同意書に同意した症例に対して、心臓MRI検査を行った。また同時期に生物学的パラメータとして血液検査も施行した。得られたMRI画像データを速度ベクトルから可視化できるソフトウェアを用いて、解剖学的部位、一心拍あたりのエネルギー損失を計算し絶対値を算出する試みを行っている。各疾患群による比較、生命予後、心事故との関連性を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象となる症例の選定に問題はなかった。心臓MRI画像から得られる速度情報を可視化するソフトウェアを、当初は自作のものを用いていたため解析に膨大な時間がかかっていた。しかし、年度途中より簡便で迅速に解析できるソフトウェアを得ることができ、作業の効率化を図ることができたため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなる症例の蓄積と、同一症例内での経時的変化を観察していく予定である。ただし、単一施設内での症例に限定されるため、もともとの症例数が少なく、また病院内のMRI撮影設備を使用するため、他の臨床業務との兼ね合いより、MRI検査自体の施行数が限られることが課題である。
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Causes of Carryover |
本研究ではより多くの症例の蓄積を目指し、継続的に心臓MRI画像データを取得し、解析することから病態の解明と予後の関連性を解明する。すなわち、次年度も継続したデータの取得と解析が必要であるため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象となる症例データの蓄積と解析に使用される。
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Research Products
(6 results)