2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the relationship between postnatal FOXP3 epigenetic changes and immune tolerance
Project/Area Number |
16K19667
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山崎 晋 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (80771774)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / エピジェネティクス / ヒストン脱アセチル化酵素阻害能 / アレルギー / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は制御性T細胞(Treg)の細胞マーカーであるFOXP3のエピジェネティクスな変化の違いによりアレルギー発症のメカニズムを解明することを目的とした。行った検討と結果を以下に順に並べる。①FOXP3の遺伝子領域の内、200bp範囲のメチル化変化の比較を臍帯血末梢血細胞(n=5)とアレルギー児末梢血細胞(n=5)の行ったが、有意な差を同定できず予算上メチル化解析を断念した②FOXP3の発現に酪酸が関わるとの報告から、臍帯血中の酪酸値を測定したところ成人に比べ著明に高値であることを発見した③酪酸が持つ抗ヒストン脱アセチル化(HDAC)作用に注目し、臍帯血(n=21)、成人血(n=10)の抗HDAC活性能(HDAC:1,2,4,5,11、Sirtuin:1-3)をELISA法を用いて解析したところ、HDAC11の阻害能が成人に比較し有意に高いことが確認された(P<0.001)。④HDAC11の発現量に差について確認するため、HDAC11の発現量をqPCRで確認したところ臍帯血と成人血の間に差はなく、HDAC11阻害能のみが新生児の血中で高いことが確認された。 上記の研究結果から、本研究では「新生児期は酪酸が高く、それによりHDAC11阻害能亢進されている」ことを証明した。胎児期、新生児期はTregの割合が高いことが知られていたが何故その状態を維持できるかは不明である。HDAC11はTregの発現を負に制御するため、本研究結果は、「胎児・新生児は高いHDAC11阻害能によりTregを発現させている」という仮説を導き出した。これは、早期食物抗原摂取がアレルギー発症予防に有効な理由としてHDAC11阻害能が残っている期間が重要だという可能性を示唆するものかもしれない。新生児期の酪酸、HDAC阻害能、Tregの発現の関連性について試みたパイロットスタディであり今後も発展させたい。
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