2017 Fiscal Year Research-status Report
アクアポリン2を用いた低出生体重児の尿細管機能障害と慢性腎障害の病態解明
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16K19669
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
遠藤 周 順天堂大学, 医学部, 助教 (60772457)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 早産・低出生体重児 / 慢性腎障害 / 尿細管障害 / アクアポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のめざましい新生児医療の進歩に伴い、早産・低出生体重児として出生する新生児が先進国を中心に増加している。近年これらの早産・低出生体重児の腎機能についての研究が進んでおり、我々の研究グループでも、極低出生体重児の慢性腎障害のマーカーとして尿中アンギオテンシノーゲンが有用であること(Nishizaki N,at al. Clin Exp Nephrol. 2014)や、子宮内発育遅延モデルラットにおいて腎機能障害に先駆けて尿中アンギオテンシノーゲンが上昇すること(Murano Y, at al.Pediatr Res. 2015)を報告してきた。しかし我々含め、現時点では「糸球体障害」にこれらの研究の主眼が置かれている。早産・低出生体重児が尿細管機能の発生において、糸球体だけでなく尿細管・間質にも何らかの影響を受けていることは予測される事であり、その詳細な検討を行うことや、成長後に及ぼす影響を解明することが本研究の目的である。本研究では臨床像や尿細管機能を反映するバイオマーカーとしてAQP2を用いる。 現在までに、動物実験にて子宮内発育遅延モデルラットの尿細管機能および慢性腎障害との関係を明らかにするべく検討を重ねている。昨年度の予備実験にて子宮内発育遅延モデルラットの作成および、尿濃縮力障害およびAQP2・AQP3の発現の低下に一定の相関があることが明らかとなった。しかし個体毎にばらつきが認められ統計学的有意差がでるには検体数が不十分である。またAQP4の発現が不規則な結果を示しており、これらの解釈に対して推敲を重ねる必要がある。また遠隔期の慢性腎障害との関連に関しては未だ結果が得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画以上に子宮内発育遅延モデルラットの安定的な作成に時間を要している。またAQPの結果が個体毎にばらつきが認められたため、検体数を増やしている。しかし結果に関し、一定の傾向は認められているため今後さらに実験を進め検体採取・保存・組織の免疫染色・AQP・copeptinの定量解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内発育遅延モデルラットの安定的作成に当初の計画以上に時間を要し、またAQPの結果が個体毎にばらつきが認められたため計画が遅延したが、現在は徐々に安定した作成に成功しつつある。今後それらのモデルラットを用い検体数を増やしていく計画である。検体採取・保存・組織の免疫染色・AQPの定量解析を行っていく。またcopeptin等の計測に時間を要し計画の遅延が懸念される時には、外部委託を利用する計画である。
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Causes of Carryover |
モデルラットの安定的作成に当初の計画に以上に時間を要し、それに伴い検体の計測および解析が遅延した。次年度は主にコイルモデルによる動物実験の完了および検体の計測・解析を行い、本研究を完了させる計画である。
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