2016 Fiscal Year Research-status Report
胎児大脳皮質発生調節機構における胎盤TLR3の役割の解明
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16K19674
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
塚田 剛史 金沢医科大学, 医学部, 協力研究員 (90647108)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胎盤TLR3 / 母体自然免疫亢進 / 脱落膜 / 母胎間シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
白血病抑制因子(LIF)と 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を使用する母胎間シグナル伝達は, 妊娠中期の母体中にLIFのピークが形成されることで, そのシグナル伝達が始動する. 正常発生においてTLR3を介した母体自然免疫により, 母体中にLIFのピークが形成され, シグナル伝達を始動するという仮説を立て, この仮説を検証するため以下の項目について解析を行った. 1)胎盤におけるTLR3の発現分布とTLR3を介したシグナル伝達の解析 母体自然免疫亢進誘発因子として, 合成2重鎖RNAであるpoly (I:C)を使用した. 免疫組織化学法を用いTLR3の発現とその下流シグナル伝達をIRF3のリン酸化で評価した.妊娠12.5日の母体腹腔内にpoly (I:C) 20 mg/kgを投与し, その3時間後の胎盤で生食投与群である対照と比較した. TLR3の発現は, 対照群とpoly (I:C)投与群ともに, deciduaとgianttrophoblast, spongiotrophoblast, labyrinth- trophoblastでみとめられた. pIRF3はdeciduaでのみみとめた. 2)胎盤におけるSTAT3, SOCS3, ACTHの発現分布の解析 1) で使用した母体自然免疫亢進モデルでの上記分子の発現を, 免疫組織化学を用いて評価した. STAT3の発現は, 対照群とpoly (I:C)投与群ともにdeciduaとgianttrophoblast, spongiotrophoblastにみとめた. STAT3 のリン酸化は, 対照群では, deciduaとspongio-trophoblastの一部にみとめたが, poly (I:C)投与群では, その範囲の拡がりをみとめた. SOCS3, ACTHについては, 現在進めているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では, TLR3のinhibitorを母体に投与しTLR3を介したシグナル抑制モデルを作成し, 上述の母胎間シグナル伝達に与える影響について解析する予定であった. しかし, そのためには母体自然免疫亢進モデルでのTLR3の発現とその下流シグナル伝達を担うIRF3のリン酸化について検討する必要が生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
1)正常においても, TLR3を介したシグナルがdeciduaで生じており, そのシグナルが母胎間シグナルに果たす役割について解析を継続する. 2)TLR3を介したシグナル抑制モデルでの胎児脳発生に与える影響を解析する.
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Causes of Carryover |
当初の予定では, TLR3のinhibitorを母体に投与しTLR3を介したシグナル抑制モデルを作成し, 上述の母胎間シグナル伝達に与える影響につて解析する予定であった. しかし, そのためには母体自然免疫亢進モデルでのTLR3の発現とその下流シグナル伝達を担うIRF3のリン酸化について検討する必要があり, 計画の遅れが生じたために次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)正常においても, TLR3を介したシグナルがdeciduaで生じており, そのシグナルが母胎間シグナルに果たす役割について解析を継続する. 具体的には, TLR3のシグナル亢進群, 正常群, 抑制群での胎盤におけるサイトカイン発現の解析とLIFおよびACTHを使用した生理的な母胎間シグナルへの影響を解析する. 2)TLR3を介したシグナル抑制モデルでの胎児脳発生に与える影響を解析する. 具体的には, 胎児神経幹細胞/前駆細胞の増殖率, 生下時の大脳皮質の細胞数をstereologyを用いて解析する.
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